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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

「土曜日ね」
木曜日の夜の帰り際、玄関でNちゃんが言った。

「うん」

「土曜日はお昼ご飯は家で食べよう。
晩ご飯は外に食べに行こう」

「うん…分かった。なんで?」

唐突にそう言うので、
心がザワッとした。

「いや、べつに。大した意味はない。
だから昼は軽くていいから。」

「軽くて?」

「うん。素麺とか。夏は素麺だよ」

「うん…分かった」

Nちゃんは多くを語らない、説明しないので、
私もそれ以上は聞けない。


私の家でご飯を食べるのが嫌なのか、、
いや、嫌なら昼は軽くとは言わないだろう。
それとも、、、昼は外に行けない何か理由があるのだろうか。


そんなことを考えるともなく、考えて
モヤモヤとした数日を過ごした。


そして土曜日、
素麺ったって、さすがにそれだけじゃあ、と
金曜日の夜に、
油揚げを刻んで煮たりとか、
干し椎茸を甘辛く煮たりとか、
具材の支度をしておいた。

土曜日の朝には錦糸卵を作り、
きゅうり千切りして皿に盛り付けた。

正午ほんの数分前に、
シャトレーゼの袋を持ったNちゃんがうちに来た。
袋を当たり前のように冷蔵庫に仕舞い、
石鹸で手を洗うと、
キッチンに立つ私を後ろから抱きしめた。

「いいから、素麺投入して」

沸騰した鍋を指して言ったが、
彼の両手は私の胸を鷲掴みにしている。


ちょっとだけ豪華な素麺を食べ終えると、
Nちゃんは食器を全て下げ、片付けた。

食後はテレビを観ながらうたた寝タイム。
私を抱きしめ、背中をトントンしてくれるが、
先に寝息を立てるのは彼のほう。

そんなウトウトを繰り返し、
あっという間に夕方だ。

「晩ご飯はどうする?
夜、蛍を観に行こうと思って。」

「へー!どこに?」

「◯◯公園に」

「へー。そうなんだ、、」

「そう。
だから、今日は晩ご飯外に行きたかったんだよ。
家で食べると出掛けるの面倒くさくなると思ってさぁ」



なるほど!
そうなのか、、、、、
だったら、そう言ってよ、、、、


蛍を見に行くことをいつ決めたのか、
そのことを言わなかったのはサプライズのつもりだったのか、それは分からない。

やっぱり彼に確かめることは出来なかったから。



外で晩ご飯を食べて公園へ向かった。
駐車場に車をとめると、彼は
「ハイ」と私にボトルを差し出した。

虫除けスプレーだった。

「すごい!」

「蚊に刺されるの嫌だからさ」

虫除けスプレーまで準備していることに驚いた。


生憎、蛍はたくさん見られはしなかったが、
それでもフワ〜っと光る蛍に見惚れた。

「蛍、終了」

1時間ほどで、帰途について少しガッカリした。
もう20時を過ぎてる。
Nちゃんはこのまま私を降ろして帰るのだろう。

私の自宅の周りは一方通行だらけだ。
玄関で降ろす場合と、家に寄るために駐車場に車を入れるのとでは、進入経路が違ってくる。

彼は玄関コースではなく、駐車場コースを通り、
車をとめた。


再び私の家に帰ると、
Nちゃんは冷蔵庫からデザートを取り出したので、
私はアイスコーヒーを入れた。

30分ほどして、彼は立ち上がった。


「今日はありがとう。嬉しかった」
玄関でハグをしてバイバイし、見送った。


Nちゃんは多くを語らないが、
それでも色々と私のことを考えてくれているんだ、
と実感した。

考えてなければ、
わざわざ蛍なんて見に行かないだろう。
虫除けスプレーなんて用意してないだろう。

それが嬉しくて、
「ただいま、姫ちゃん!」
のメールに

もう一度
「今日はありがとう。嬉しかった」
と返した。
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