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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

(2012年6月6日付の記事)

夕方になるまで苦悶の時を過ごした。
大きな仕事を抱えていて、逃げ出すわけにもいかない。
必死の集中力で、仕事を片付けた。

4時を過ぎてどうにも耐えられず、オフィスを後に。
ひろのお店に近づくにつれ、どんどん怖くなっていった。
「もう!どうして連絡してくれないの!心配するじゃん!!」
「どうしちゃったかと思った・・・・」
心の中でひろへの言葉を練習した。

閉まっているとばかり思っていたお店の外ドアは開いていた。
中ドアを押してお店に入る。薄暗いカウンター。
いつものカウンターだ。
人がいないと、ひっそりと寂しい影を落としている。

奥に気配がした。物音もする。

意を決して厨房に入ると、作業をする女性がいた。
ひろの妹さんだ。普段から厨房を仕切っている。

「あの・・・すみません。Sさんは?」
「いないんですよ。」
「あ、えーと・・・連絡が取れなくて。どちらに?」
「外国に行ったんです。」
「外国?!」
「そうなの。用事があってね。」
「前から決まっていたんですか?」
「急に行くことになったの。だから私たちも困ってるの。
予約が入ってるから。予約だけこなしてくれって言われて。」
「そうなんですか・・・」

あまりに衝撃的で、でも、死んじゃってたわけじゃないという
安堵感から涙がポロポロとこぼれた。
「大丈夫?」
「はい・・・大丈夫です。連絡が取れなかったから、
どうかしちゃったのかと思って・・・
だから・・・外国ってどちらに?」

「ブラジルに。」
「いつ帰ってくるんですか?」
「それが分からないの。」
「・・・」
フラフラと立ってさえいられなくなった。

「分かりました・・・ありがとうございます。」
「あの、お名前を。」
「いえ。」
「お名前だけでも・・・」
「いえ。大丈夫です。すみませんでした。」

困惑の表情を浮かべる妹さんがメモを差し出したのを
振り切ってお店を出た。
涙が止め処なく流れた。

どうして?どうして?
どうして、何にも言ってくれないの?
何があったの?
どうして?どうして?


ひろの妹さんは姫と直接面識はない。
お店のカウンターでひろと並んでいたり、
親しく話している横顔を少し見ている程度だ。
そんな女性はこのお店には五万と来る。

しかも姫は先週バッサリ髪を切ったばかり。
ずいぶん印象が変わった。
うっすら姫のことを認識できたとしても、
イメージが重ならないだろう。
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