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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

連休の最終日、Nちゃんに逢って話をした。
私から「逢いたい」と誘ったのだけれど、心の中は複雑で、
これからのことを決めかねていた。

Nちゃんも、そのことを感じるのかしきりに私の表情をうかがい、
また、何かを確かめるかのように握る手に力を込めてきた。

喫茶店でコーヒーを飲み、
「散歩しよっか」と、私は外を指さした。
そこには湖畔をぐるっと巡る公園がある。
「いいよ。」と、彼。

そこは犬の散歩をする人、ウォーキングをする人、
ジョギングをする人で賑わう、郊外のスポットだ。
昼下がり、秋の爽やかな風の中を、手をつないで歩く。

時折、Nちゃんは立ち止まると、私の前に回り込み
身をかがめてキスをした。そんなことが数度。

ぽつりぽつりと話をして、しばらく歩いたところで、元来た道を引き返した。

自転車に乗る人、後ろから追い抜くランナー、すれ違う人。

突然、Nちゃんは私の手をパッと離した。
何も言わず、ただふいに。
そして微妙に足早に歩き出し、私の斜め前方に出た。

50メートルほど前方にトレーニングウェアに身を包んだ
50歳くらいの男性がジョギングをしてこちらに向かってくるのが見えた。

Nちゃんは明らかにその男性を意識して、私の手を離したと思われ、
私は、そっと視線を外した。

その男性が近付いたところで、私の斜め前を歩くNちゃんが声を発した。
「オッス」

その男性はNちゃんを見て、「おぅ」と言い、足を止めることなく
走り去った。

斜め前方を歩いていたNちゃんはしばらくして歩みを緩め、私と並んだ。
「・・・知ってる人だった・・・・・」

「そうなんだ・・・」
私は、そう答えたが、彼は呆然と前を見たままこう続けた。

「ここは危険だった・・・」

Nちゃんと並んで歩いているのに、二人の距離はうんと遠く感じた。
前から、後ろから人が来るたび、
タッタッタと走る音が聞こえてくるたび、Nちゃんが身構えているのを感じた。

少し前に郊外の森林公園で「同僚」と呼んだ若い男性に遭遇した時、
Nちゃんは私の手を離さなかった。
その時とは明らかに違う。

ジョギングをしていた男性はNちゃんの先輩に違いない。
挨拶の仕方からして、上司ではなく先輩なんじゃないかと推察できた。
しかも、非常に近い立場の。
だから、こんなに動揺しているんだろう。


私は何も言えず、ただNちゃんとのむなしい距離を感じたまま歩いた。
そんな私の気持ちを察したのか、何なのか分からないが、
少し歩くと、Nちゃんは私の手をそっとつかんだ。


さっきと同じように手をつないでいるのに、手と手の間には
さっきとは違う何かがあった。



もう、ここには来れないね。
来ちゃだめだね。
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