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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

「さ、姫ちゃん、シャワー浴びよう。行動開始だ。」
情事が終わって、Nちゃんが言った。

「いや。」

「いやじゃないの。車屋さんに行かなきゃいけないんだ。」

「いや。」
私は彼の動きを制するように覆いかぶさった。
下敷きになったNちゃんは腹筋を使って体を起こそうとする。

仕方がなく負ぶわれてバスルームに行き、
彼は無言で私の体を洗い流した。

服を着てソファに座るNちゃん。
困ったなという表情を浮かべている。

「「仕方がないでしょ」って言いたいんだったら言えばいいのに。」
私がそう言うと、

「そんなことないよ。」

「顔がそう言ってる。」

「そんなこと言っても、姫ちゃんは「分かってる」って言うでしょ。」
冷静なまま彼が言うので、涙があふれた。

「姫ちゃん、泣かないの。」
Nちゃんは動じず、たじろがず、タオルを当てて私の涙を拭く。
「目が腫れちゃうよ。鼻が赤くなっちゃうよ。」

そして、彼はこう続けた。
「時間が短い分、質を高くすればいいんじゃないかな。」

Nちゃんの言う「質の高さ」が何なのか分からない。
尋ねれば良かった。
質が高いって、どういうことだろう。

今日は、待ち合わせ時間が約束よりも遅くなった。
理由は分からない。
で、帰り時間も、結局彼が決める。
何もかもが「仕方ないでしょ」と、表情で語る。

私のために作ってくれる時間なんて、せいぜい3、4時間が精一杯なのだ。

短い時間でも私との時間を作ってくれているのは有り難い。
でも、、、いつもいつも。

帰りの車の中は無言で、Nちゃんは私を覗き込むように
遠慮がちに手を触った。
「姫ちゃん?」

「なぁに?」

「嫌いになる?」

「ならないよ・・・
嫌いにならないし、大好きだよ。・・・でもな、って思う。」

「そっか・・・」

「Nちゃんは?」

「オレは好きだよ。けど、「でもな」とはならない。」

私は彼を見ることができず、窓の外を見た。
車はいつもの駐車場に到着した。

Nちゃんはハンドブレーキを引いてシートベルトを外すと、
私に乾いたキスをした。
私の心の中に入ってくるのを躊躇っているんだろう。
その躊躇いが表情から読み取れた。
それが嫌で、私は口を開いた。
「Nちゃんは私ともっと一緒に居たくないの?」

「居たいよ。ずっと姫ちゃんとくっついていたいよ。」

「けど、、、「時間がないんだからしょうがないでしょ」って言いたいんでしょ。」

「そんなこと言ってないでしょ。できることは何でもするよ。」


そう、彼はいつもそう言う。
『できることは何でもする』と。

つまり、できないことがどれだけあっても、それは仕方がないこと。
私がやってほしいことのうち、彼ができることは何%なんだろう。
何ができて、何ができないんだろう。

何を努力してくれて、何は努力してくれないんだろう。
何が無理じゃなくて、何が無理なんだろう。

私は彼が何としても私の求めに応えようと思える価値もないのか。
そう思えて、また涙がこぼれた。

私はNちゃんの「隙間」にしか居られないのか。


困った顔で私を見るNちゃんに耐え切れず、
「じゃあね」と言って車を降りた。
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