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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

何度もここに書いているが、ひろは本当に複雑な人だ。
複雑なのに、単純に見せかけ、
単純なのに複雑に見せる。

見栄張りで、プライドが高く、
心を簡単には開かない。

インチキでペテン師で、嘘もいっぱいつく。


こんなふうに、ひろを表現すると
まるで人非人のようだ。

けれども、そうじゃない。
そう、思っている人はいるだろう。

けれども、姫はひろがそうじゃないことを知っている。

あばたもえくぼ、、、そういうものではない。
もっと本能的で、直感的な感覚だ。


それを長いこと言葉にすることが出来ずにいた。
表現することが出来ず、もどかしかった。

自分の直感を的確に言葉で表現するのは難しい。



しかし、昨日、姫はそれをふいに言葉にすることが出来た。
酔っ払って舌が滑らかだったのもあっただろう。
それに、ひろも上機嫌だった。
ひろと姫の間に『遠慮』という空気がなかった。


姫は子供の頃から、何故かエッシャーのだまし絵に魅かれた。
エッシャーを知ったのは、アートのブームのようなものだった思う。
それでも、衝撃的に、直感的にそこに魅かれた。


「ひろは姫にとって『エッシャーのだまし絵』みたいな人なんだよ。」

「エッシャー?」

「そう、ヨーロッパの人。どこか忘れたけど、無限を表現してる絵を描く人。
滝が落ちてるのか上ってるのか分かんない絵があるじゃん。」

「あぁ、分かるよ。」

「姫はね、昔からエッシャーのだまし絵にたまらなく魅かれるの。
ひろとエッシャーのだまし絵は共通してるの。」

「何が?」

「緻密で、精巧で、完璧に見えるのに、決定的に間違いがあるの。」

「なるほど。」

「ずっと、ひろのどこに魅かれているのか分からなかったけど、
今、すごく分かった気がする。エッシャーのだまし絵と同じだ。」

「決定的な間違いがあるの?」

「そう。一見、完璧なのに。よく見ると違うの。
どうしようもなく決定的に欠陥があるんだよ。どうすることもできない。」


酔っ払ったひろは、ただ微笑んで姫の言葉に耳を傾けた。



翌朝の二人の予定のせいで、一緒に眠ることは出来ず、
ひろとバイバイして一人、お部屋まで歩きながら反芻した。


そうか、エッシャーのだまし絵だ。



しらふのひろに、面と向かって同じことを言ったら、
逆切れするだろうな・・・
そんなことを考えながら、酔い覚ましに夜の街を歩いた。
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