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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

手術のあと、
Nちゃんにはお通夜の予定があった。

彼の部下が亡くなったのだ。
「突然死でさ…」


手術の前日にお通夜の日程が決まり、
彼から報告があった。
だから、てっきり病院から戻ると、
そのまま彼は私を置いて帰るのだと思った。

仕方ないとは思いながら、前日、
「7時にお通夜行くよ」のメールに

「また戻ってくる?」
と勢いで返信した。

「うん^_^」

そうか、そうか、
戻ってくるのか…



そして、当日、
病院から私の家に帰宅し、
簡単に夕食を作って二人で食べた。


Nちゃんは食器を洗い終えると、
服を脱ぎ、ワイシャツを着てネクタイをしめた。
靴下を履き、スラックスに脚を通し、
そしてジャケットを羽織った。

彼の制服姿を見るのはこれで二度目だ。

抱きつきたい気持ちを精一杯抑え、
「別人みたい…」
と、そっとハグした。


「いってらっしゃい、気をつけてね」

まるで一緒に暮らしてるみたいだな、
まるで毎日の出勤を見送るみたいだな、
そう思いながら、Nちゃんに小さく手を振った。



分かってる、
ほんの一瞬の「ごっこ」。
幻だって。


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術後一週間が経ち、
週明けには抜糸の予定だ。




手術は土曜日の午後3時半。
正午前にNちゃんがお迎えにきて、
ランチを外食した。

帰宅して、私は手術に備えて、
シャワーを浴び、髪を洗った

テレビを観る彼を横目に、
髪を乾かし、3時ぴったりに家を出た。

病院に到着して、
待合でしばらく待ったあと、
名前が呼ばれ、処置室に入った。

少しの説明のあと、
ベッドに寝て、局所麻酔が施された。
これがかなり痛い、
痛さに耐えつつ、つい、数分前のことを後悔した。

万一のことを考えて妹の連絡先を
彼に伝えておこうか、いや、それも大袈裟か、
…色々なことを考え過ぎて、
結局、自分のバッグや帽子まで、慌てて手にして、
Nちゃんのことを振り返りもせず、
バイバイもせず、処置室に入ったことを。


どうして彼に荷物を預けておかなかったんだろう、
どうして彼の顔を見て手術に臨まなかったのだろう。


そんなことを思ううちに、手術が始まり、
そして終わった。

何をされているのか分からない不安と恐怖でか、
身体の震えが止まらない。
一通りの術後の説明を聞き、処置室を出た。

待合にはポツンとNちゃんの姿。

「怖かった、、、震えが止まらない、、、」
そう言いながら彼の腕に触れようと延ばした
両手の指は小刻みに震えていた。

「大丈夫?」

「うん、、怖かった、、、」

再び名前が呼ばれ、
会計をし、抜糸の予約をして、振り向くと、
彼が私の帽子を手にしているのが見えた。

それを見た時、
あぁ、一人で来なくて良かった。
勇気を振り絞って、Nちゃんに「ついてきて」
と頼んで良かった、と思った。

とにかく身体の震え、特に指の震えが止まらなかった。
こんな状態で一人車を運転して帰るのはあまりにも惨めで、また心細く、悲しい。

「薬を、、」

「◯◯でいい?」

「うん」

処方箋薬局のある近くのドラッグストアに寄って
二人で私の家に帰った。


「ガーゼをね、、明日取ってください、って。
一人で取るのは難しいから、誰かに取ってもらってください、って。お願いしてもいい?
すぐ帰っていいから。」

と怖々聞いたら、

「うん、わかったよ」
と、無表情に答えた。




週末、ちょっとした手術をする。

手術自体は部分麻酔で、
ほんの30分ほどで終わるというが、

麻酔が切れて痛みを抱えたまま、
一人で車を運転して帰ってくるのが怖くて、
手術の予定が決まった日、
Nちゃんに
「送り迎えしてくれる?用事なければ。」
と頼んでみた。

「用事なければ」とは言ったが、
それはあくまでも社交辞令で、
「当然断るなよ」のつもりであった。


「もちろんだよ!
コロナで病院着いてっていいのかな?」


「別に何も言われてないし、
30分くらいで終わるから車で待ってて。
送迎してくれれば十分」
と返した。


ちょっとした手術なので、心配はしていないが、
それでも結構出血するらしく、
「汚れてもいい服装で来てください」
と言われている。

怖い……


それとはまた別に、
年内、もう一つ手術を受ける予定だ。
婦人科系で、入院を伴う。

その手術は息子に立ち会ってもらうつもりだが、
長男は地方で、
次男は海外。

次男は秋には帰国するので、
秋以降でいいかと思っていたのだけれど…

「もう一つの手術は?
もうしなくていいの?」

「ううん、、、しなきゃいけないんだけど、
立ち合い必要だしさ、、次男が帰ってきてからで
いっかと思って…」
と、答えたら、


「オレじゃダメなの?オレが立ち合うよ。
親族じゃないとダメってことないでしょ?」
ということになり、


こちらの手術も彼に立ち合ってもらう予定。

…怖いけど


「どこまで立ち合えばいいのかな?」

「うーん、、麻酔に入る前から、
麻酔から目が覚めるまで…かな」

「了解!姫にはオレがついてるぜ!」


とはいうものの…
やはり、怖い。


「今日、一緒にお風呂入ろう」

おはようのメールのあと、
Nちゃんにそう返信した。

したいときは、はっきりと意思表示することにした。

「Nちゃんとしたい!」と言うこともある。


彼は淡白で、私から求めることのほうが多いが、
私が求めて、さすがに拒否されることはない。
まぁ、たまにNちゃんから珍しく求めてくることもあるが。

私が前もって意思表示をしておくと、
それなりの流れが出来るので気が楽だ。

ランチをして戻ると、
いつものようにNちゃんはテーブルの上に
車のキーやら、腕時計やら、スマホやらを
ポケットから取り出して置いた。

リビングでテレビを観る彼の横に座ると、
Nちゃんは私の腰に手を回して抱き寄せた。

ワイドパンツの裾から差し入れた手は
太腿まで届く。

ショーツが無理やりずらされて、
Nちゃんの指がストッキング越しに中心に掛かる。

ストッキングに阻まれて指は入り口にしか届かない。

腰を少し浮かせると、ほんの少し指が沈んだ。


それがもどかしかったのか、
Nちゃんは私のパンツのボタンを不器用に外し、
ファスナーを下ろして、
今度はストッキングもショーツも超えて
指を差し込んだ。

たった一本の指が私を上気させる。

無理な姿勢ともどかしさで、
Nちゃんは指を抜き取り私に見せながら
ティッシュで拭った。

タイミングを逃すまいと、
私は立ち上がってバスルームに行き、
お湯を張った。

リビングに戻ると、そこには全裸のNちゃん。

「今、入れたばかりだよ」

「それは失礼」

服を着た私と全裸のNちゃん。
そのいやらしさと恥ずかしさを隠すために
私は彼の足元に跪き、彼を咥えた。
明るいリビングで。

Nちゃんは私を引っ張り上げて立たせると、
「後ろを向いて」と
くるりと背を向かせ、私のパンツとストッキングと
ショーツを一気に下ろした。

立ったまま後ろから貫かれ、
彼の腕を掴もうと触れると、何かが当たった。
腕時計は外しているはず…

そしてふとテーブルを見るとあるはずの
彼のスマホが見えない。

…ピコンと音がした。

そうか、スマホを手にしているのか。

「何してるの?」

「動画撮ってるの」

「ヤラシイね」

「姫ちゃん、そのまま前進、、、
前進、、、」


私とNちゃんは後ろ向きに繋がったまま、
バスルームに移動した。

なんと不格好な…

脱衣所に到達すると、鏡の前に私を立たせて、
彼はスマホを構えたまま私を突き上げた。

「姫ちゃん、顔上げて、鏡見て」

鏡には歪んだ顔の私がいる。

「Nちゃん、ヤラシイって」


だからか、
彼の芯は硬い。


…ピコン


再び音がした。

「終了」
そう言って、彼はスマホを洗面台に置き、
私から身体を離した。



まだまだこれから。
そして、一緒にお風呂に入った。



この動画をNちゃんは
あとで観るのだろうか。
観たらこの瞬間を思い出すのだろうか。



彼が動画を撮ったのは、これが2回目だ。
その時は写真も撮った。
写真の何枚かは私にも送られてきた。

私とNちゃんが繋がっている紛れもない証拠だ。



「もうすぐ到着」

ぶっきらぼうな電話のほんの1分後、
Nちゃんの車が家の前に停まった。

「何食べる?」

「うーん、、何か候補挙げて」

「いつもオレが決めてるんだから、
たまには姫ちゃんが決めて」


何もそんな言い方をしなくても、
というぶっきらぼうな言い方に
私は少し傷付いている。


だからと言って機嫌が悪いわけでもない。

その証拠に、
信号待ちで停まったタイミングで、
Nちゃんは手を伸ばして私の脚を撫であげた。

彼はストッキングフェチなのだ。

「好き?」

「うん」

「ストッキングを履いた脚が?」

「うん」

「私の脚じゃなくても?」

「ストッキングを履いた姫ちゃんの脚が」

「ほんと?」

「ほんとに決まってる」

「気持ちいい?」

「手触りは気持ちいいけど、フィット感がイマイチ」

「は?どういうこと?」

「もっとフィットしててツヤツヤしてて欲しい」

「フィットっていうのは、私の感覚じゃないの?」

「いや、オレ的に」

「履くのは私なんだからさ」

「いや、ご主人さまのために、ご主人さまが気に入るものを履かないと」

「なんだそれ、、
そんなこと言ってたら嫌われるよ」

「ならないから大丈夫」

「そんなの分かんないじゃん」

「大丈夫だよ。
好きで好きでたまらないんだから。」

「誰が?」

「姫ちゃんがオレを」



ここまで言われる私。
しょうがない、惚れた弱みだ。

私がこんなに寂しくしてるの知ってる?
知らないよね…

気付いてたとしても、
気付かないふりしてるよね。

前に私が「さみしい」と言った時、

「オレがいても何の役にも立たない。
オレなりに精一杯のことをしているつもりだけど、
姫ちゃんをさみしくさせてしまう。それが辛い。」

そして、別れ話に発展したね。

その時、「もう、さみしいって言わない」
と言ったら、

「いいんだよ、そう思うんだから、言っても。
でも、オレといてそう感じるなら、
オレは必要ないと思う。姫のことを愛しているからこそ、そう思う。姫には幸せでいて欲しい。
オレといて幸せじゃないなら、オレは必要ない。」

そんな言葉を返されて、
私は必死に抵抗したね。

私はNちゃんのことが大好きだから、と。


でも…苦しいよ。
私は今も、これからもこんな思いをしなきゃいけないの?
いつまで?

私との「いつか」に対する説明責任を果たしてる?
責任…って、言葉は誤解があるか…


私はもっと求められたい。
心も、身体も。

何度も伝えてきたね。

「もっと触れて欲しい、ギューってして欲しい」
と言ったら、

「いつもしてるし、そうして欲しい時は言えばいいんだよ」
って、返されたけど、私は納得してないよ。

どうしてもの時は言ってきたし、言ってるけれど、
いつもいつも言えないよ。
怖くて言えないよ。


だってね、
「オレはいつだって姫のことを抱きたい」
と言う一方で、
「オレはただ一緒にいるだけで幸せだよ」
と言うよね。


正論だ。
交わりだけが幸せの尺度じゃない。


「姫ちゃんがしたい時に言ってね。いつしたいか分からないから」
とも言われたね。



もう疲れたよ。
そんなこと、
いや大事なことだからこそ、
このことについて私の気持ちを伝えて理解してもらうことに、疲れたよ。


私はどうやって解消すればいい?

今でこれだよ?
夫婦なら深刻なレスへとまっしぐらだ。
間違いなく。


でも、Nちゃんの返答はいつも同じ。
「オレもいつだって姫を抱きたいよ。」

なら、そうしてよ。
心の寂しさを解消できないなら、
身体から寂しさを取り去ってよ。


Nちゃんの考えていることが分からないんだ…
ずっとそう。
ずっと分からない。

誠実であろうとしているのは
何となく分かる。

けどね、所詮、誠実になんてなれないよ。
どっちつかずだもん。


今さ、一番綺麗な落とし所はね、
奥さんとやり直すことじゃないかな?

子供のため、子供のためと言うなら、
向き合ってみたら?
やり直せるよ、きっと。

不誠実でいることが限界なんだよ、もう。


何事もなかったように、
この先を過ごせばいいんだから。



そうしたら、私も、
しなくてもいいネガティブな感情に支配されなくてもいい。
こんなにもったいない時間を過ごさなくてもいいから。


これで、Win-Winだよ。





排卵期のせいか、気持ちの落ち込みが激しい。


今、岐路に立っているような気がしてならない。
私はただの愚かな女なのか。

その時なりに目の前にあることを見つめ、
選択すべきことを選択し、
自分の納得できる方向に進んできた。

それが間違っていたのか…

今、私の中を占領するこのネガティブな気持ちは、
何かの罰か?
もしそうなら、何の罪か?

いつの時点に遡ってやり直せば、
その罰から逃れられるのか。


今抱えているネガティブな気持ち…
寂しさ
悲しさ
虚しさ
やるせなさ
不満
不足

全ては、本来なら、
いや、私が選択を間違ってなければ、
全て感じなくてもいい感情なのではないか。

もっと愛され、求められ、
誰かの温もりを直に感じ、
孤独な瞬間など一切なく、
暢気に、穏やかに、平凡で、
幸せに溢れた時間を送っているのではないか。


私の選択が間違っているから、
それが得られないのか。

だとしたら、なんともったいないことを…


しなくてもいい孤独を感じ、
しなくてもいい寂しさを感じ、
しなくてもいい虚しさを感じる。

なんともったいない時間を私は過ごしているのか。



そんなことを考えていたら
涙が出てきた。