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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

Nちゃんは優しい人だ。
私には到底真似ができない優しさを持っている。

私のように意地を張ることもないし、
計算することもなく、
ただ真っ直ぐにその優しさを私に向ける。

そんなNちゃんが私は大好きだ。


先週、彼は出張で月曜日から木曜日まで
不在だった。

先週の土曜日、デートの時、
おもむろに彼は言った。
「俺、月曜日から出張。言ったっけ?」

「ううん、聞いてない。初耳。」

いつもそうだ。
教えてくれるのはいつも直前。
聞いたからと言って、何というわけではないが、
それでも、こちらに不在であることを教えるのは、
私は当たり前だと思っている。
だって、急に逢いたいと思っても
逢えないんだから。


そう、前にも話したつもりだったのに。

「いつ帰ってくるの?」

「木曜日の夜。」

「ふーん、、、」


話はそれで終わった。
彼が出張するからと言って、特段、
私には影響がないのだから。
あるとしたら、平日の夜、逢いたくても
逢えない、というだけのこと。
それだけのこと。


釈然としない気持ちは、心にしまった。



そして、出張中。
Nちゃんからは毎晩電話がかかってきた。
声をひそめる理由もないからか、
ただ遠いところにいる寂しさを埋めるためだけ
だからから、毎晩、電話があった。

水曜日の電話で、Nちゃんはこう言った。

「あ、俺、土曜日に富士山登ってくる。」

唐突に何気なく言ったので、
ひょっとして仕事かと思い、尋ねた。

「どうして?」

「部下が登るって言うから、一緒に登ろうって
話になったの。息子も連れて行こうかと思って。」

「そうなんだ…土曜日、◯◯に行きたかったのに」

「土曜日だっけ?日曜日に行けばいいじゃん」

「だって、土曜日にしか見れないもん」

「そっか、、また来るでしょ。」

私が見に行きたかったのは、特別な船の寄港。
数年ぶりに来るというので、しばらく前に、
「一緒にいこ!」と、彼に話していた。

それを忘れていたのは、仕方がない。
でも…
富士山の予定は急に決めたわけではないだろう。
何日も前から話が上がっていたはずだ。

それを、突然、
「俺、行くから」って。

話が上がった時点で、どうして私に言って
くれないのか。


そんな想いがフツフツと湧いてきて、
その日はローテンションのまま、電話を切った。
Nちゃんには、何も言わなかった。


翌日、私の家庭の中で、頭に来ることがあり、
怒りと苛立ちで、気持ちが昂ぶっていたところ、
Nちゃんから、「新幹線乗ったよ」だの、
「混んでて座れない」だの、呑気なメールが来た。


私の怒りと苛立ちは、Nちゃんに向けるべきでは
なかったけれど、つい、怒りに任せて、
吐き出した。


「すごく腹が立つことがありました。
いま、沸騰中です。
Nちゃんに頼りたいのに、頼れない。
そばに居てくれたらと思えば思うほど、
Nちゃんは遠い。

出張の予定も、富士山も、私はほんの
直前にしか知ることができない。
Nちゃんは遠い人。

悲しくて、辛い。
余裕がないから、一人にして。」


そんなメールを送ってしまった。



当然、彼から返事はない。
「一人にして」と言ったのだから。

随分、ひどい言い方をしてしまったが、
私は苛立っていた。

出張から帰って、
「お疲れさまでした」も言ってあげられなかった。


夜中に「おやすみなさい」と
遠慮がちなメールが届いたけれど、
何も返さなかったし、翌朝の
「おはよう。仕事頑張ってね」にも返さなかった。


金曜日の夜、
「気をつけて行ってらっしゃい。
無事に帰ってきてね」とメールをすると、

数時間して、
「明日は悪天候なので延期にしました」と
硬い返事がきた。

私は「そうでしたか」と送ったけれど、
それにも、
その後の「おやすみなさい」にも、
Nちゃんからの返信はなかった。


土曜日の朝、
10時を過ぎて、「おはよう」とメールした。

しばらくして「おはよう」と返事。


そっか、「おはよう」だけか。


きっと、Nちゃんは怒っているに違いない。
呆れているに違いない…

後悔は先に立たずだ。
酷い言い方をした私が悪い。
もっと、別の言い方をすれば良かった。
彼がくれたメールに返事をすればよかった。


あぁ、このまま、もう終わってしまうのか、
もうあの楽しい時間を過ごすことは出来ないのか、

自業自得か…


そう思っていると、電話が鳴った。

「姫ちゃん、体調はどう?」

「うん…まぁまぁ」

「◯◯に行こうか。」

「今から?」

「うん。11時くらいにそっちに行けるから。
支度できる?」

「うん。…ありがとう、Nちゃん」

「じゃあ、あとでね」



そして、Nちゃんは、
私が行きたいと言った◯◯に連れて行ってくれた。



私は思った。
この人はなんて優しいのだろう、
こんなに底のない優しさを持った人を
私は他に知らない。



だから、何度も、何度も、
ありがとう、と言った。
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いつもつまずくところは同じ。
何度同じところで、つまずいても、
切なく、虚しく、涙をこらえる。


Nちゃんは、私を大事にしてくれている。
私のために時間を作り、お金を使い、
愛情を注いでくれている。

それは、きっと、紛れも無い事実で、
私はとてもとても幸せに違いない。


なのに、なぜ
なぜ、私は切なく虚しいのか。


Nちゃんは、私の遠く遠く離れた存在で。
私には永遠に手の届かない人なのか。
そう思うと、涙がこぼれる。


そんな気持ちを私は乗り越えられるのか。



Nちゃんは、私に対して、
十分にやってくれている。

私はどこまで望んでいるのか。
もっと、もっとと際限なく、求め続ける。
ささやかな望みが、いつのまにか
大きな欲望になって、コントロール不能になる。


十分に与えてくれているのに。
私のことを考えてくれているのに。
なのに、私はこんなに切なく虚しいのか。

私はどこまで欲深いのか。
今度の連休、帰省する。
帰省…と言っても、もう私に実家はないので、
幼少期を過ごした馴染みのある場所に行く、
という表現のほうが正しいかもしれないが。

というのも、春ごろ、私が卒業した高校から、
同窓会の案内が届いた。
学校単位の定例のものでなく、クラス単位の
カジュアルなものでもなく、
「卒業30年の節目に」と記されており、
学年丸ごとに対するものであった。

おぉ…卒業して30年…
恐ろしい。

青春の甘く、酸っぱく、幼い
あの高校時代から30年か…

私の母校はミッション系の女子校で、
地元では「スーパーお嬢様校」と言われていた。
3年間は楽しく充実していて、
タイムマシンで戻れるならいつ?と聞かれたら、
私は迷うことなく、高校時代と答えるほどだ。

あれから30年か。
みんな30年分の人生を歩み、30年分老いている。
あの可愛らしかったJKがみんな熟女か。

30年ぶりに逢って、誰だか分かるだろうか。
私は私だと気付いてもらえるだろうか。
それが恐ろしくて、出欠の返事を躊躇っていた。

でも…二度とこんな機会はないかもしれない。
そう思って、辛うじて繋がっている友人に
連絡してみた。
何年も前に交わした携帯番号に
ショートメールを送る。
「この番号はまだ生きているかな?」

その友人は、私の数少ない親友だが、
もうかれこれ10年は会っていないんじゃないか。

しばらくして
「○ちゃん?久しぶり!」

「良かった〜繋がってた!」

彼女は偶然にも同窓会の幹事の立場で、
否が応でも私は出席するルートに乗った。

200人規模で、開かれる同窓会。
会場は高級ホテルだ。


嬉しいけど、気も重い。
「私は幸せ」と胸を張って華やかな席に臨みたい。
でも…実際のところはどうだろう。

怖くて、怖くて。


もうすぐ私の誕生日。
連休は私が帰省をするものだから、
「誕生日のお祝いは土曜日にしよ!」と
Nちゃんが言ってくれた。

だから、私はNちゃんとデートして、
そのまま新幹線に乗る。
恋人に見送られて新幹線に乗るんだから、
私は幸せ、か。
離婚、不倫、ネットニュースを見ると、
毎日のようにそんな話題が氾濫している。

そんなこと当事者じゃないと
分からないじゃないか!
そう思って、うんざりする。

批判、誹謗中傷する報道を見ると、
「じゃあ、お前はそんなに清廉潔白なのか」と、
言いたくなる。

誰も、他人を批判できない。
誰も、他人を非難なんてできない。
私はそう思っている。

夫婦や恋人という二人だけの関係なら尚更だ。
当事者間で争いが起きるのはまだしも、
第三者はそれに関して、批判は出来ない。
そういうものだろうと思っている。


SNSを騒がせているあの話題も、
目にする度に悲しくなる。
誰か止めてあげて…と。

人間の業とか、煩悩とか、そういうものが
うじゃうじゃとしているように見えて、
恐ろしくなる。



それは誰もが持っているもので、
だから余計に、
鏡に映った自分の姿を見ているようで…

もちろん、あそこまで酷くないと思うが、
自分の姿がデフォルメされたら、
あんなふうになるような気がする。



私は何を求めて、苦しんでいるのか。
私は何に満たされなくて、求めているのか。
私が目指しているものは何か。
それが分からない。


離婚や不倫を醜聞として書き立てられているのを
目にする度、結局私がしていることも汚いことで、
我儘なことで、エゴの現れなのかと思ってしまう。

誰と結婚しても、誰と恋愛しても、
行き着くところは同じなのか。
相手が変わっても、自分は変わらないのだから。

それが恐ろしい。
自分が怖い。


また、掘り下げなくてもいいことを
掘り下げているんだな、と思ってもやめられない。




少し前に、Nちゃんに言った。
「私と一緒にいる時は、
ついさっき恋に落ちたような気持ちでいて。
私とデートする時は、
初めてデートするような気持ちでいて。」と。


そんなことは幻か。
所詮、幻想か。


無いはずのものを求めているんだもん、
ゴールにたどり着けるはずなんてないか。