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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

昨夜、「愛のコリーダ」を観た。
大島渚監督の、あの有名な作品だ。
日本初のハードコアポルノなどと言われているので、
ご存知の方も多いとは思うが、
実際に観たことがあるという方は少ないかもしれない。

私も、作品のタイトルと”ポルノ”であるということ、
藤竜也が”本番”をしたこと、裁判沙汰になったこと、
阿部定事件を描いたものであることしか知らなかった。

長年、ただのエロ映画だと思っていたら…
それはとんだ間違いだった。
もちろん、大胆な性描写はあるけれど、
その根底にあるのは、ただのエロではないと、
私は感じた。

映画だし、エンターテインメントには違いないけれど、
ものすごく考えさせられる作品だった。


実際の事件がどうだったかは分からない。
でも、定も吉蔵もものすごく愛し合っていた。
愛が昇華したらこうなるんだろうな、と思う。
それが羨ましく、定と吉が愛し合っている映像を観て、
私は泣いた。胸が苦しく、重かった。


愛って何?恋って何?
相手を独占したいと思う気持ちが、人を狂わせる。
その狂気にいる二人はきっと幸せなんだろう。


定も吉も同じように相手を欲し、愛した。
そして狂ったんだ。





映画を観ている途中、Nちゃんから
「姫ちゃん、愛しているよ」、「大好きだよ」と
メールが届いた。

だから、私は、
「愛していると大好きは、どう違うの?」と返した。

すると
「愛している>大好き」と返ってきた。


なるほど…
それ以上、何の思いも起こらず、
私は「私とNちゃんはどこに向かっているのかな?」
と送った。

私とNちゃんの行き着く先はどこなのだろう、と。

そしたら
「姫ちゃんと同じところだよ」と返ってきた。



愛してる、大好き…
Nちゃんは毎日、毎日、何度も私に言う。
でも、それはどこに向かっているんだろう。




それで、最後に、ふと思い出した。
リリーフランキーの言葉。
『不倫している男は無責任だから、ロマンチックなことを
平気で言う。』


確かに…
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先週の水曜日の夜、Nちゃんと逢った。
いつもの喫茶店でコーヒーを飲んだだけだったけれど。

生理が終わって、本当なら気持ちが上向きになるはずなのに
何故だか下がったまま。
やる気もなく、Nちゃんからのメールに返す気分も起きなかった。

Nちゃんは、今のこの関係に不満はなく、
「さびしい」とも言わない。
「さびしい」と言うのは、いつも私ばっかり。

そんなのも何か癪にさわって、つい。
前日は、Nちゃんからメールに返信せず。
「姫ちゃん、姫ちゃん」の呼びかけメールにも返さず、
23時を過ぎて、
「何もやる気がしない。さびしいし。もう寝る。おやすみ」と
一方的に送って眠った。

半ばあてつけではあるけれど、現に、すぐ眠った。

そして、水曜日。
夕方、仕事を終えて帰るコールをし合った直後、
電話が鳴った。

「姫ちゃん、元気~?」
「うーん…まぁまぁ。」
「そっかぁ…大丈夫?」
「あんまり…」
「姫ちゃん、今夜、時間ある?」
「うん、あるよ。」
「じゃあ、今夜逢おうか。」

私はなんて現金な。

急いで、買い物を済ませ、晩ご飯の支度を終えた。

頑張れる気力はどこにあったのか。
彼に「ご飯作ったよ」とメールをすると
「じゃ、7時40分集合!」と返信があった。


喫茶店でただコーヒーを飲んだだけ。
ポツリポツリと話しをしただけ。
全部私のペースに合わせてくれた。

「じゃあ出よっか。」
お店を出て、彼の車に乗ってまた少し話をした。
私にやっぱり元気がないことが分かると、
Nちゃんは私をギュッと抱きしめて、頭を撫でた。

彼の肩越しに高層マンションの灯りが見える。
その灯りにはどれだけ温かい家庭があるのだろう…
そう思ったら、涙があふれて、声をあげて泣いた。
泣く私の背中をトントンと優しくたたくNちゃん。
その優しさに、私はまた泣いた。

欲しくて欲しくて、でも得られないNちゃん。
だから、余計に欲しいのか…
私にはどうして得られないのか。
そんなことを考えながら、彼の首元に顔を埋めた。
恋は二年で冷める......
というのを聞いたことがあるだろうか。

これには動物の本能という根拠があるという。
メスは子孫を残すために、より強い(遺伝子を持つ)オスを選ぶ。
その時「このオスが最高のオスなのだ」と思い込ませるために
特別なホルモンが分泌されるという。
そのホルモンによって、メスは催眠にかかったような状態となり、
オスの全てを受け入れるようになる。
オスの何もかもを好きになるわけだ。


それは子孫を残すための本能で、
そのオスとの間に子を設け、その子がある程度育てば
役割を終えることになる。

二年、ないしは三年の間、
そのホルモンが分泌されていさえすればいいのだ。
だって、子育てにかかりっきりのメスは新たなオスを探せないから。

子がある程度育ったら、メスはまた新たな子孫、
より強い遺伝子を残すべく、より強いオスを求める。

で、また別のオスに対してホルモンを分泌させる…
と、まぁ、こんな具合だ。


だから、恋が二年で冷めるというのは、
あながち間違ってはいないらしい。


恋愛初期ホルモンだっけな…
それが分泌されている間は、その男性にしか
目がいかなくなるという。
その男性の一挙手一投足にうっとりし、
その男性の顔、体、声、全てが好きになる。


それがいつの間にか、そう思わなくなるのは、
恋愛初期ホルモンが出なくなったせい。



今、私にはそのホルモンが絶賛分泌中なのだろう。
Nちゃんの全てが好きで好きで仕方がない。
顔も、体も、声も、指も、その仕草も全て。

イケメンとは言えないが、凛とした顔立ちに
私は目が離せなくなる。
ともすれば私より色白できめの細かい肌は
さわり心地がいい。
澄んだ茶色の瞳に見つめられると、胸が苦しい。
色素が薄いからか、陽射しを眩しがって
眉間にしわを寄せた表情に、また私はクラッとなる。

決して荒ぶらない穏やかな口調。
遠慮がちな微笑み。

全てを愛おしいと思う私は、
今、動物的な本能をむき出しにしているのか。
これも錯覚、勘違いか―――
と、思うと、フフっと笑えてしまう。


.......だよね、と。
Nちゃんと付き合って2回目のバレンタインデー。
去年のバレンタインデーは何だかなぁだったが、
今年はほんの少し進歩したか…

去年はリンツのエクストラシンという私の大好きな
チョコレートをダークとスイートの2種贈っただけ。
それでホワイトデーのお返しに、ルビーのネックレスをもらったので、
今年はチョコレートだけじゃないほうがいいと思い、
ロクシタンの限定のハンドクリームとリップクリームのセットと
ボディーローションを買っておいた。
それに、デメルの猫のソリッドチョコレートを渡した。

別に猫が好きなわけでも何でもないが、
正統派なチョコがいいだろう、でも、ゴディバはな…と思っただけ。


13日の土曜日、デートをした。
Nちゃんの車に乗って、すぐに渡した。
ハンドクリームとリップクリームのセットはくっつけると
キスをするデザインになっていて、それは私も同じものを買ったので、
お揃いだということを告げた。
「たくさん、ありがとう!」
Nちゃんが微笑んだ。
「姫ちゃん、髪型似合うよ。すごく可愛い」

そう、私はまたまた髪を短くし、今、ショートボブになっている。
しかも思い立って、かなり明るい色にカラーリングした。
短くしたのは先月のことだが、そこからさらに短くしたのが木曜日のこと。
「姫ちゃんは顔が小さいから短い髪が似合うよ。オレはその方が好き。」

「茶髪でも?」

「うん。すごくいいと思うよ。」

「金髪にしても?」

「すればいいのに。」

本当は金髪にしたかった。そのことはずっと彼に言っていたのだ。
でも、さすがに、金髪は諦めた。
ビジネスシーンにはあまりに不向きだから。

そして、この日、向かったのは大きなお寺。
そこで今、ひな祭りをやっている。
おひな様が所狭しと置かれていて、圧巻だ。

短く明るい髪が新鮮なのか、この日は
いつも以上にNちゃんが私を見る。
おひな様を見る私を写真に撮っていた。
広いお堂を巡って、ひと気がなくなると、
何度もNちゃんは歩みを止めて、私に向き直り、
顔を寄せてはキスをした。

ちらちらと周囲を確認する目の動きが微笑ましい。
誰もいないことが分かると、彼は私をギュッと抱きしめてもくれた。
それが嬉しくて、嬉しくて、私も笑みがこぼれた。


お寺を出て、しばらく車で走って、
「たこ焼き食べよう」と、たこ焼き屋さんに行って、
この日のデートはお開きとなった。


買い物をして帰宅すると、Nちゃんからメールが届いた。
「たくさんプレゼントをありがとう。嬉しいよ。
姫ちゃんの髪型すごく似合うよ。可愛くてずっと見ていたかった。」
ハートの絵文字がいっぱいのメールだった。
そういえば昨夜、夢を見た。
Nちゃんの奥さんのこと、家庭の事情について
あれこれと考えていたからだろうか…

どこかのイベント会場。
私はNちゃんと一緒にいた。
もうすぐそこから花火が見えるという。
張り出したバルコニーのようなところから、
階下を見下ろすと、セレモニーが始まった。
主催者はNちゃんと同じ制服に身を包んでいる。

人混みで私はNちゃんを見失なうと
場面は変わった。
私は客人となって、家に招かれている。
お茶を出してくれたのは、私と同年代の女性。
綺麗でもなく、どこかパッとしない女性だ。
この人がNちゃんの奥さんか…
心の中で私は呟いている。
その女性は微笑みながらどうぞごゆっくりと、
言い残してその場を去った。



夢だから支離滅裂で、辻褄も合わない。
ただ、何故こんな夢を見たのかだけは理解できる。

何度か書いたけれど、Nちゃんは家庭で
ほとんど一切の家事をしている。
「子どもたちと出掛けてくるね」
そう送られてくるメールは、私への配慮
ということもあるだろうが、
家族みんなで出掛けることより、奥さん不在で、
子どもたちとだけ出掛けることが多いのでは
ないかと感じる。
あくまで、私の想像の域を出ないが。

子どもを病院に連れて行くのも彼、
塾や何かの送り迎えも彼、
洗濯も、掃除も、洗い物も、買い物も
全部全部彼の役目だ。

そこには奥さんの影は全く見えない。

「向こうはご飯を作るだけ。」
付き合う前にそう聞いたことがあった。
だから、本当に「だけ」なのだろう。

彼はほとんど毎晩、寝床から
私に「おやすみ」の電話をかけてくる。
そのことからも自室で一人寝ていると分かる。

こうなるまでに何があったかは分からない。
私から尋ねてもいないし、話してもくれていない。
けれど、よほどのことがなければ
こうはならないんじゃないかなと思う。
あくまでも、私見だが。

Nちゃんは決定的な欠陥があるわけじゃないし、
家事もする、育児もする、仕事も真面目、
ギャンブルをするわけでも、傍迷惑な趣味を
持っているわけでもない。
そんな平均点な夫をこんなにも排除する理由が
あるとしたら…
奥さんに恋人がいるのではないだろうか。

もしそうでないとすれば、
きっと夫婦修復に向けた努力をするだろう。
外に彼女を作ろうとするのではなく…
でも、そうしないということは、
完全に夫婦関係が破綻しているからだろう。

奥さんだって、寂しいはず。
女だもん。
Nちゃんだって、寂しいんだから。

けれども、こういう状況のまま、
家庭に収まっているのは、何より
子どものためだろうと思う。

徹底的に夫を排除して、
形だけ家庭に収まっていられるのは、
恋人という拠り所があるからじゃないだろうか。

私にはそう思えてならない。
そのことを、Nちゃんも知っているのではないかと。
先日の土曜日、Nちゃんとデートした。
尋常でない眠気、胸の張り、このイライラ。
生理が近付いていることが分かっていた。
次の週末には生理が来るだろう。
だから、Nちゃんと交わるには、
今週を逃すと、再来週になるに違いない…
そんな目論見で彼と待ち合わせた。


「姫ちゃん、どこ行く?」
「う~ん、分かんない」

私のご機嫌があまり良くないことを
Nちゃんは既に察している。
彼は、何も言わずに、車を発進させた。
どこに行くのだろう…

橋を渡り、二つ目の信号に差し掛かった時、
左にウィンカーを出した。
そして、私はホッとした。

いつものホテルに到着して、
部屋で、Nちゃんは立ったまま私をハグした。
腰から背中に手を滑らせながら、彼は言った。
「姫ちゃん、頑張ったね。痩せたね。」
「うん!そうでしょ!すごいでしょ!」
「うん。すごいよ。」


この日のNちゃんはいつもと違った。
(気のせいかもしれないが…)

いつものように時間をかけて丁寧に
私の体を愛撫するNちゃん。
彼の先端から出る透明の液が私の太腿を濡らした。

Nちゃんが私の脚の間に顔を埋め、
それから私も彼の脚の間に顔を埋めた。
「姫ちゃん、お尻をこっちに向けて」
躊躇することなく、彼の顔に跨り、私は彼を咥えた。

「顎が疲れたでしょ、姫ちゃん。」
私が彼の胸に跨ったまま、起き上がると
「そのままこっちに来て…もう少し、下りて、もう少し…」
Nちゃんが言うままに、腰をずらすと、
私の中心に、彼の硬いものが当たった。
「そのまま入れてごらん」
そして背面で挿入した。

「姫ちゃん、気持ちいい?」
「う…ん…でも、Nちゃんの顔が見えないもん。」

「じゃあ、こっちにおいで。」


正常位で入ってきた彼に腕を回すと、
彼との距離がいつも以上に近いと感じた。
私の余分な肉が取れたからだろうか。

Nちゃんは私をひっくり返すと、
後ろから挿入した。
私の腰と背中を撫でるように触る彼。
いつも以上に、激しく突き立てられた。


それから小休止して一眠りした。
Nちゃんは私をギュッと抱き寄せ、頭を撫でた。

目を覚ますと、彼は乾いたキスをして、
私の手を取り、導く。
再び硬くなったそれに優しく触れると、
Nちゃんは「ん…」と声を上げ、私に覆いかぶさった。

ゆっくり、浅く、彼は動く。
私だけを見つめるその眼は吸い込まれるほど澄んでいて、
「Nちゃん…Nちゃんの顔が好き」と私は言った。
彼がたまらなく愛おしかったのだ。
「顔だけ?」
「ううん…全部。」

ゆっくり、浅い動きから、速く深い動きに変わると
「姫ちゃん、イキそうだよ。イッていい?
一緒にイコう…」

一気にスピードを増すNちゃんにしがみついて、
私は全身で彼を受け入れると、彼は果てた。


痺れたような感覚を残しながら、もう一度言った。
「私、Nちゃんの顔が好き」
「顔だけか…」
「顔だけじゃないよ。」



加齢とともに、基礎代謝が低くなっているのに加え、
日々の怠惰な生活のせいで、日に日に増す体重。

着られなくなった服はないけれども、
ジーンズにシャツをインしたり、短めのトップスを着ると
腰回りがもたつき、ベルト部分に肉が載るという有様。
何とかせねばと思いつつ、食欲は留まることを知らない。

だって、食べることは何にも代えがたい快感なんだもの。
ストレスは一瞬忘れることができるし、
一過性だけれども、幸せを感じることができる。
それが忘れられなくて、また、つい食べる・・・
そんなことを繰り返しているんだもの。
そりゃ太るわ。

分かってはいたけれど、先日、定期健診を受けて、
2年ほど前に比べて3キロも太っていることが判明した。

ので、一念発起!ダイエットを実践している。
まずは、食事量を抑えてカロリー制限。
走ったり、泳いだり、マシンを使ったりと
有酸素運動をしたいところだが、なかなかそんな余裕もなく。

そこで、試しているのが、妹に勧められたフラフープ。
このフラフープを続けてはや2週間。
腰回りがかなりスッキリしてきた。

フラフープはかなり優秀な有酸素運動で、
ネット情報によると、10分で100キロカロリーも
消費するらしい。
それを、だいたい、毎日30分ほど続けている。

最初は回すのさえ苦労した。
何度も落としては、トライし、コツをつかんだ。
右回しはできるのに、左回しがどうもできない。
しかし、これも何度も練習してクリア。

今では、右も左も問題ない。
左右バランスよく、音楽を聴きながら回す。
15分を過ぎたあたりから息が上がり、汗ばむ。

効果が目に見えるのも嬉しい。
ジーンズの腰部分に肉が載らなくなってきた。

が、ゴールはまだまだ。
お肉がこんなに掴めるうちはまだまだだ。
無理せず、毎日続けていきたいと思っている。


昨日の日曜日、Nちゃんからいつものように
おはようのメールがあり、その後も10通以上の
やり取りがあった。

11時ごろを最後に、メールはプッツリと途絶え、
(またいつものことか…)と、私はため息をついた。

「ほっとかないでよ」とか、
「プッツリと終わらせないでね」とか
何かしらメールを送ろうと思ったけれど、やめておいた。

前日、思いがけずパーカーを買ってもらったことで、
私の気持ちが落ち着いていたのもあるし、
そもそも、私がグズグズ言って物事が好転することは
限りなく無いに等しいということを学習したからだ。

だから、私は
(きっと、Nちゃんなりに理由があるのだろう)と
考えることにした。


それでも、だんだんとシビレが切れた午後2時半。
はぁ…とため息をつくと、メールが届いた。
「姫ちゃん…自転車と接触事故しちゃって、今、病院だよ。」


驚いて、すぐに返信した。
「誰が?Nちゃんが?」

「オレが、クルマで。」

すると、すぐに電話が鳴った。
「姫ちゃん…」

「相手は大丈夫なの?」

「うん、今のところ…」

相手は何と高齢の男性で、右折時に気付かず、
自転車に接触。よろけて、自転車ごと転倒したらしい。
幸い、頭を打ってもいなくて、骨折もしていないという。
念のため、CTを取っている最中とのこと。


Nちゃんの消沈ぶりがひどい。
彼はとても慎重な人だし、真面目な人なので
余計に気落ちしているのだろう。


それにしても、大事にならにずに済んで良かった。
事故には変わりはないが、怪我がなくて良かった。

「ちょっと油断したんだね。
神様が気をつけなさいよ!って気づかせてくれたんだよ。
だから大きな事故は防げるね。」
そうメールを送っておいたけれど…


夜になって、ようやく帰宅したNちゃん。
よほど疲れたのだろう。
いつもよりずっと早い時間に
「おやすみ」のメールが届いた。




土曜日の朝、電話があった。
「今から散発してくる。姫ちゃん、午後からデートできますか?」

金曜日の夕方に沖縄出張から帰ってきたばかりで、
いつもならデートの約束は水曜日にはするのに、
今回は何も約束をしなかった。
でも、彼が何も考えていないわけはないと、

私からは何も言わず、ただ待っていた。


やっぱり…ちゃんと考えてくれている。
良かった、グズグズ言わなくて。
胸をなでおろして、午後、
いつもの待ち合わせ場所に出掛けた。


パスタ屋さんでランチをし、
それから少し気になっていた酒蔵見学に行った。
霧雨の降る中、案内役の女性のあとをついて、回る。
日本酒の甘い香りがただよい、
工場の設備にはワクワクした。

山田錦を6割も精米するんですよ…
そういって見せてもらった酒米は小さな粒になっていた。


舐める程度に試飲をして
(Nちゃんはドライバーなので私だけ)
お土産を買って、帰途に就く。


待ち合わせ場所の大型ショッピングモールに到着すると、
Nちゃんはエンジンを切り、降りるのだということが分かった。
車から降りると、手を差し出すNちゃん。
(先日、私が言ったことを学習している)


向かったのはアウトドアショップ。
そこで、Nちゃんはアウターを探していた。
私もそのお店が割と好きで、Nちゃんと離れて物色する。
そしてノースフェイスのコーナーで、
とても可愛いパーカーを見つけた。

「わぁ、コレ可愛い!!可愛くない??」
手に取って、Nちゃんに見せた。

「ほんとだね。可愛いね。」

グレーのパーカーのフード部分に
大きくロゴが刺しゅうされている。
フードの紐は刺しゅうの色と同じパープルだ。

「欲しいなぁ~…どうしようかな…」
私は独り言のようにつぶやいた。
ここは私の家から10分ほど。
またあとで来て、それで買ってもいいかなと思った。

「姫ちゃん、着れる?」
Nちゃんが怪訝そうに言った。
そのパーカ―はMサイズだけれど、相当コンパクトな
作りになっていた。見るからに小さい。

「失礼な!」

いやいや、いくらコンパクトな作りになっていても、
私、着れますから!

「着れる?ほんとに?」

「Nちゃん、超失礼!!
うーん…やっぱ可愛いよね、コレ。どうしよう。」

そう言いながら、名残惜しそうにしていると、
Nちゃんはそのパーカーを取り上げ、
「じゃあ、オレのと一緒に買おう。」

そしてスタスタと歩いて、彼が目星をつけていた
アウターの売り場に行った。

「え?え?」
Nちゃんの真意が分からず、ドキドキした。

「Nちゃん…いいよ…」

「姫ちゃん、欲しいと思った時が買い時だよ!」

そしてレジに行ってお会計をした。
「別々に包んでください」と言った
Nちゃんの言葉が胸に痛かったが。


「Nちゃん…ありがとう…ほんとにありがとう。」

「いいえ、どういたしまして。」

「ほんとにありがとう。」

「オレも可愛いと思ったから。姫ちゃんに似合うなって。
オレがいいと思わなきゃ買わないよ。」

「うん…すごく嬉しい。ありがとう。」

「でも、ほんとに着れる?レシート渡す?」

「もーっ!!!」



というわけで、唐突に
Nちゃんにノースフェイスのパーカーを買ってもらった。



…でもね、実は、
「可愛いなぁ、どうしよっかなぁ~」と
言いながら、私は考えていた。

(一緒にいるのが旦那さんだったら
「しょうがないなぁ、買ってやるよ」とか言うんだろうな)って。

そんな私の心の中の独り言を
Nちゃんが読み取ったかどうかは分からない。

けれども、彼の私に対する気持ちを感じて
とてもとても嬉しかった。
決して安い買い物ではない、それを唐突に買ってくれるなんて。

きっと、彼も同じく
(これが奥さんだったら、「買ってあげるよ」
って、言いたくなったんだろうな)って。


だから余計に嬉しくて、一人微笑んだ。