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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

さっき、Nちゃんから
「帰ってきたよ。」とメールが届いた。
水曜日からの沖縄出張から戻ってきたのだ。



出張の前日に電話で
「メールもして、電話も…できたらしてね。」
そうお願いしたからだろうか。
水曜日の夜も、昨日の夜もちゃんと電話がかかってきた。

水曜日の夜は「宴会だ」と、
途中、何度もメールが届き、写メで「盛り上がっているよ」と
報告もあった。
あまりに頻繁にメールが来るので
「宴会に集中して!」と返したほどだ。

昨日の夜は「今夜は同期の宴会」と報告のメールが
あっただけで、何もなかったけれど。

同期の集まりを楽しんでいるのだろうと、気にならなかった。

それでも、夜遅く電話がかかってきて、
声を聞くことができたので、やっぱり
「電話して」とお願いしただけのことはあった。


一日に何十通もメールを寄越すマメな彼。
その彼にしたら、その頻度は低かったけれど、
でも、いつもと違う時間の中で、
私に連絡をしてくれたことが嬉しかった。


家庭の中にいない、誰のものでもないNちゃん。
私だけのNちゃん。
そう思えただけでも、まぁ、よしとしよう。
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「オレ、27、28、29日と沖縄出張って言ったっけ?」

「ううん…聞いてない。」
「沖縄行ってきます。」
「そっか…遠いね。」
「金曜日の夕方には帰ってくる。飛行機が飛べば。」

先日のデートの折、車を運転しながらNちゃんが言った。
”言ったっけ?”って…
私に言った記憶があるのだろうか。

Nちゃんはいつもそうだ。
前の出張の時も、前もって知らせてくれるということはなく、
「明日の支度をしている」とかなんとか言って、
「支度?」と尋ねて、
「オレ、明日から青森~!行ってきます。」
みたいな…

いや、別に、彼が出張だろうと、何だろうと、
私が知ったところで、何があるというわけではない。
私に心の準備が必要な事柄でもないし。
ただ…彼の動向を知っておきたいと思う。
それって、至極当たり前のことと、私は思うのだが、
違うのだろうか。



昨日のこと。
夕方、いつもなら「今から帰ります」の電話がある代わりに、
「今、ダッシュで帰って息子と病院に来てるよ。」と
メールが届いた。
数時間後、「○○(娘さんの名前)の自転車がパンクしてるから
修理しなきゃ。」とメール。

私は(どんだけ父親してるの!)と、心の中で叫んだ。

その後、妹とメールのやり取りをしていて、
(妹はNちゃんの存在を知っている)
そのことを伝えると、
「どうでもいいことは詳しく話すのね。」
と返ってきた。


つまりは、息子さんや娘さんのことは
聞いてもいないのに詳しく話すくせに、
私が知りたいこと(出張のことなど)は話さない。


「そうなんだよね。
子どもの名前だって別に聞きたくもないんだけど。」

「だね。」

「前にさ、私が”次男君がまだ帰ってこない”って
メールしたらさ、しばらくして
”○○(次男の名前)は帰ってきたかな?”って
メールが来て、すごく違和感を感じた。」

「え??不思議、それ。」


感覚の違い、価値観の違いなのかな、これ。
私が知りたいと思うことをNちゃんは全然分かっていない。
”知らせてほしい”と敢えて言うほどのことでもないけれど。



そう、だから、明日からNちゃんは沖縄へ飛ぶ。
彼の真意が全然読めない。
Nちゃんは感情の浮き沈みがあまりなく、
いつもポーカーフェイスだ。

そのことに安心することも、もちろん
あるのだけれど、時々、真意が読めなくて
とてもつらい。

交わりに関することも、
つい、本当のところは…と考えてしまう。
流れに任せるしかないのだろうが。


Nちゃんはとてもマメな人で、
メールは日に何十通もあり、電話も欠かさない。
平日は仕事帰りに「今から帰るよ」の電話と、
「おやすみ」の電話もある。
真意が読めなくて不安になった時に、
「私を想っているから、メールも電話もあるんだ。
愛情表現なんだ。気持ちがない人に、こんなにも
してくれるわけがない」と思うようにしているけれど、
でも、やっぱり、どうしようもない不信感にかられる。

付き合い始めた頃は、もっと情熱的だった。
だから、私はそれがずっと続くものだと思っていた。
それがNちゃんのスタイルなのだと。


付き合い始めのころ、感動したことがある。
車から降りると、彼は私を待ち、手を差し出してくれる。
そして、どんなに短い距離でも、手をつないで歩いてくれた。

ひろがそういう人ではなかったので、
余計に嬉しくて、Nちゃんの深くストレートな愛情を感じた。


なのに…
最近、そういうことがめっきり減った。
長い距離を歩くときは手を差し出してくれるけれど、
普段は彼から自発的に手が出ることがない。
私が手を取ると、もちろん手をつなぐが、
でも、意識して私に触れるということがなくなった。
ポケットに手を突っ込んで歩くことさえある。

(私に触れたいと思わなくなったんだろうな…)
そう思った。
仕方がない、こんなにグズグズ言っているのだもの。
彼を責めて、”ゴメン”とばかり言わせているんだもの。
そういう気持ちが起こらなくなるのも当然かもしれない。


昨夜、Nちゃんから「大好きだよ」とメールが来たので、
「じゃあ、私にもっと構ってよ!」と送った。

「はい。」
「でも、Nちゃんはずっと前のほうが優しかった。」
「そんなことないよ。ずっと変わらないよ。」
「でも、そう思うことがいっぱいあるんだもん!」
「いっぱい?!そんなことないよ。」
「そんなことあり過ぎるの!」
「そんなふうに思わせてるのはオレのせいだね。ごめんね。」

そして、私は、手が差しだされないことを伝えた。
「そっかぁ…ゴメンゴメン。気をつけるよ。」
「でも、行動は無意識に、気持ちを表しているから…」
「姫ちゃ~ん(>_<)そんなこと絶対にないから!」



「ちゃんと言ってくれてありがとう。嬉しいよ。」
そう彼は言ってくれた。

それでも、私はNちゃんの真意が読めない。
些細な、どうでもいいことなのかもしれないけれど。
でも、私は何年経っても、幾つになっても、
心も体も触れ合えるそんな関係を築いていきたいのだ。

「いつまでも同じ気持ちで、同じ方向を向いていたいから。」
私がそう送ると、
「そうだね。ありがとう」と返事が届いた。
誰にも言えない、どこにもぶつけられないこと。
それはNちゃんとの交わりについて。

昨日、ほぼひと月ぶりに交わった。
先週生理中だったので、昨日は暗黙の了解でホテルに向かった…


Nちゃんは元々、淡泊な人だと思う。
彼は「そんなことないよ」と言うけれど、
最初から私はそう感じた。
”体の相性”もあまり良くないのだろう。

それでも、付き合い始めた頃は、
気持ちの昂ぶりを感じたし、そう違和感を感じずに済んだ。


ひと月まえの交わりは、Nちゃんに元気がなく、
私が口でして、最後を迎えた。
「男は繊細なんだよ」と言ってたけど…

昨日は、久しぶりなのもあってか、
バスルームのお湯の中で触れたそれはカチカチだった。
(あぁ、楽しみ…)私はそう思った。

ベッドでたわむれる間中、ずっとキスをした。
こんなに長い時間キスをしたことがあったっけ、
そう思うくらいずっとキスをした。
私の膝を割って入ってきたNちゃんは硬く、
目を閉じて腰を浮かせた。

彼の表情を確認しようと目を開けると、
いつものようにポーカーフェイス。
じっと私を観察している。
「おもしろい?」私が尋ねた。
「うん、おもしろい。」
彼は、私が感じている姿を「おもしろい」と言う。
何とも不思議なのだそうだ。
「気持ち良さそうで羨ましい」と。

「Nちゃんは気持ちよくないの?」
「うーん…そういうわけじゃないけど。」
「けど?」
「気持ちいいよ。でも、男と女は違うから。」

Nちゃんは膨れっ面をした私の手を引っ張った。
騎乗位の状態で私は腰を沈めて、でも、彼の表情を
確認して、動きを止めた。
「Nちゃんが気持ちよさそうじゃなくて、つまんない!」
「そんなことないよ。気持ちいいよ。」
「でも、つまんないんだもん!」

「男はイク時だけだから。」
「だったら、一人でするのも変わんないじゃない。」
「そんなことないよ。一体感っていうか。
それに姫ちゃんが気持ちいいと、気持ちいいんだよ。
だからしてるんだよ。」

ちっとも気持ちよくない。
気持ちが萎えて、何だか切なくて涙が出た。

「何で泣くの?」
「だって…」
「グズグズ言わないの。」
「だって、Nちゃんは私としても気持ちよくなさそうだもん」
「そんなことないって言ってるでしょ。」

そして、私は彼から下りた。

Nちゃんは私に腕枕をすると、寝息を立てて
静かに眠った。

「Nちゃんは私とべつにしなくてもいいの?」
「そういうわけじゃないけど…」
「けど?」
「そればっかりっていうのも…」
「っていうのも?」
「二人がしたいと思った時にすればいいんじゃないのかな。」
「私はいつもしたいもん!」
そう言って、私はまた泣いた。

「ヨシヨシ、姫ちゃん」

Nちゃんの真意が読めず、私は切ないまま、
彼の腕の中で目を閉じた。


目覚めて、彼は私の中で果てたのだが…

こんなにも求めてこない男性と私は付き合ったことがなく。
だから、つい愛情の尺度に置き換えては、
釈然としない気持ち、どうすることもできない気持ちと
格闘している。
触れてはいけないことって、やっぱりあるんだなと思う。
暗黙の了解でみんなそれを知っていて、うまく使い分けている。
私は、世渡りが下手なのか、空気が読めないのか、
ただ正直なだけなのか、いや、馬鹿なだけなのか、時々、
そのアンタッチャブルに触れてしまうことがある。


かつて、私はそれで親友を失った。
今も交流がないわけではないが、以前のように
”親友”というのが憚られる。
その原因となったのがひろとの関係だった。


かつてW不倫の末、結婚した”親友”。
私はその彼女をずっと変わらず応援してきた。
仕事上のパートナーであった時期もあったし、
公私ともに支え合っていたと言っても過言ではなかった。

彼女の最初の結婚が破たんし、今のご主人と付き合うように
なった時も、まだその彼が前夫人と離婚が成立する前に、
妊娠し、流産してしまった時も入院に付き添い、
手術の書類にサインもした。
傷心の彼女を自宅に呼び、しばらく静養させたこともあった。

私は彼女と通じ合っている自負があったし、それは彼女も
同じだと思っていた。

私がひろと付き合うことになった時、
一番嫌悪感を示したのは彼女だった。
はっきりと言われた「不快だ」と。

ひろと付き合うきっかけになったのが彼女であったこと、
私の夫と彼女が旧知の中であること、そんな諸々が彼女を
「不快」にさせたのだろう。

それ以来、彼女と私の中で、私のプライベートは
アンタッチャブルなものになった。怖いくらいに。



そして、もう一つ。
私が勤めるオフィスに一つ年上の取締役の女性がいる。
彼女とは仕事関係以外にも接点があったので、折に触れ、
プライベートの話をする機会があった。

いつだったか、私と夫との関係が破たんしていることを
知って、「どうなの?」と聞かれたことがあり、
馬鹿な私は、ペラペラと話しをしてしまった。
「巣立ったら、家を出るつもりですが、それまでは母親の
務めを果たすつもり」だと。

それに対して彼女はこう言った。
「子供の前で仮面夫婦をするつもりなの?それってどうよ?
子供が可哀想じゃない?」と。


当時バツ1だった彼女。
それから数年後、彼女が妊娠出産で休暇を取ることが分かった。
「誰の子??」
驚いて私は尋ねると、彼女は言った。
「私の子」と。

彼女はどうしても子供が欲しいと言った。
精子バンクを頼ろうとも思ったらしいが、
生身の男性との間に子を設けたという。
だから、認知もしてもらっていないし、自分の子として育てると。

しかし、彼女は仕事に追われ、現在小学生になる子は
殆ど彼女の両親、つまり祖父母に育てられている。
色々な事情があるのだろうが、それは、両親が健在であるから
出来ること。恵まれているから。

でも、私は思った。それはエゴじゃないかと。
数年前に私に「子供が可哀想じゃない?」と言った彼女。
母親になりたい一心で、父親不在の子を設けた。
それは彼女のエゴじゃないだろうか?

そんなアンタッチャブルにはもちろん、触れはしないが。


彼女もひろのことを知っていた。
苦言を呈されたこともある。


それなのに、私は、軽率にもやってしまった。
先々週、Nちゃんとゴタゴタしていた時、オフィスの駐車場に
彼はやってきた。
夜、9時を過ぎていたので、私は自分の車の横に駐車した彼の車の
助手席に乗り、話をしていたのだ。

そこに、その彼女の車が入ってきた。
当然、Nちゃんの車は部外者の車で、目に付いたのだろう。
しかも、私の車が止まっている。不審に思ったに違いない。
”マズイな…”と思ったが、もうどうしようもない。



そして一昨日のこと。
オフィスで久しぶりに彼女と顔を合わせた。
その帰り際、エントランスで私を見送りながら、こう言った。
「こないだ、いたね。」
「あ…すみません。」
私は咄嗟に”すみません”と言った。

彼女は親指を立てながら言った。
「これ?」
「あ…まぁ…」
ごまかせなかった。

「どうよ?」
呆れたように彼女が言う。

「すみません…」
「あの時間はさ、社員もいるかもしれないしさ、謹んで。」
「はい…すみませんでした。」
「…言わせないでよ…」

何とも言えない表情で苦言を呈された。
苦言があって当然だ。私が軽率だったのだから。

でも……
私は釈然としなかった。
何も迷惑を掛けているわけでないのに。
アンタッチャブルなことと、どうして放置しておいてくれないのか。



それから、私は気分が沈んでいる。
釈然としない気持ち、自分の軽率さ、倫理に反しているのだという実感、
どこに向かうとも言えないこの不明確さ、胸を張れないこの状況。
色々な感情が入り混じっている。

世の中のアンタッチャブル。


今、ベッキーも色々な感情が入り混じっていることだろう。
清廉潔白な人なんていない。でも、世の中は暗黙の了解の内に
清廉潔白を他人に求める。
そば屋を出て、Nちゃんが私に聞いた。
「姫ちゃん、どこに行きたい?」

「うーん…考えてない。」

Nちゃんは何かを目指すように、車を発進させた。
いつもと違う市街地を抜け、住宅街に入ったところで
あっ!と、彼を制止した。
「ゴメン、Nちゃん。私、生理なんだ…」
ラブホに入る寸前だった。

「なんだ…だったら早く言ってよ。」
珍しく不機嫌な表情でNちゃんが言った。

「ゴメン…」

「いいけどさ」
不機嫌さが消えて、いつもの表情に戻っていた。

彼と交わったのは年末のこと。
だからしばらく経ってはいるけれど、
元々、Nちゃんは逢う度に求めてくるわけじゃないし、
あの顛末の後、余計にそんな気分にならないと思っていた。

「じゃあ、どこに行く?海に行く?」

「うん」

そして海に向かった。
太陽が波間に反射してキラキラとまぶしい。
ビュービューと風に吹かれながら、海岸を歩いた。
他愛もない話をしながら、ふと、彼は歩みを止め、
体をかがめて私にキスをした。

「姫ちゃん、大好きだよ。」

顔を離してそう言うと、もう一度キスをした。
私はNちゃんの頬に手を添えて、彼を捉えた。


車に戻って、私が買ってきたおやつを少し食べた後
「コーヒー飲みに行こう」と車を走らせた。

随分以前に、仕事で関わったカフェが近くにあることを
彼に告げ、うろ覚えの記憶でそこに向かった。
アンティーク雑貨や廃材を利用したオーダー家具もある。
居心地のいい空間で、中庭に向かって横並びで座った。

Nちゃんは私の腰に腕を回す。
この密着具合に、あぁ私は愛されていると実感した。
ソファに深く腰を沈め、目を閉じるNちゃん。
その顔をまじまじと見つめた。
”私はNちゃんが好きだ。欲しくて欲しくてたまらない。”

少し奥まったその席はどこからも見えない。
だからNちゃんは顔を近づけて舌を出したので、
私は彼の舌を吸い取るようにキスをした。

Nちゃんはそれに満足したのか、再び目を閉じた。
時間が止まればいいのに…
そう思って、私はやっぱり彼の顔をまじまじと見つめた。


カフェを出たのが午後5時。

私が長男を迎えに行くのは6時過ぎでいいので、
まぁどこかで時間をつぶそうと思っていると、
Nちゃんは「お迎え6時だっけ?」と私に確認して、
「ヤマダ電機行っていい?」と言った。

そうか、Nちゃんなりに考えてくれているんだ…
土曜日、待ち合わせたのは12時半。
私の長男のセンター試験の初日でもあり、
送迎をすることになっていたので、待ち合わせ場所は
いつもと違う、私のオフィスの駐車場にした。

「姫ちゃん、お昼食べよう。」
そして、向かったのは、そば屋。

ここは、かつて、ひろとよく来た。
飲食業という同業のよしみもあって、
ひろとこのそば屋のマスターは仲が良く、
私もここに来ては楽しい時間を共有した。
マスターはアートに造詣が深く、お店はカフェのようにお洒落。

何年もひろとここに通っていたせいで、ひろとお別れした後、
行きづらく、以来、一度も来ていなかった。
けれども、少し前、思い切って一人で来てみたのだ。
マスターは久しぶりに会うにもかかわらず、私を覚えてくれていた。


「おいしいそば屋があるんだよ」と、Nちゃんに話したのが
つい先日のこと。

ちょうど昼時でお店は混みあっていて、何組も待っている。
入り口近くで待っていると、目の前をマスターが通った。
「こんにちは!」
マスターが私を見つけて声を掛けてきた。


かつて、私と一緒に居たのはひろ。
今、私の横にいるのはNちゃん。

”あれからもうずいぶん経ったなぁ”
そう思いな がら、私はNちゃんと手をつないで待った。
「もうグズグズ言わないから」とNちゃんに言われたのが
先週の月曜日朝のこと。
先週一週間は慎重に慎重に過ごした。

Nちゃんも同じなのか、メールの絵文字が少ない。
それまでは、おはようのメールにはハートがいっぱい。
「今日もいっぱい愛してる」の言葉も必ず添えられていたが、
先週はそれがなかった。


いつもはふんだんな絵文字に呆れるほどだったのに、
ないとなると途端にさびしくなるし、その真意が気になった。
ハートマークを使う気分になれないのだろうし、
「愛してる」という言葉を使う気にもならないのだろ うと。


そのことを指摘して、「愛してる」って言ってとお願いをしようと
思ったけれど、何だかそれもあまりに惨めでやめておいた。

そんな中、先日の土曜日、Nちゃんとデートした。
木曜日だったか「土曜日デートできますか?」とメールが届き、
私は「うん、大丈夫だよ。センター試験だけどね(^_^;)」と返した。

その返事が「じゃあ、やめとこうよ」だったのには驚いた。
「なんでだ?」と返すと、「送迎しなくていいの?」と。
私は「するけど・・・朝早い時間だし、終わりは18時過ぎだよ。」と返した。
すると、「じゃあ、その間にデートしよう!」と送られてきた。

「やめとこう」と返した彼。それがNちゃんのスタイルなんだと思った。
こうして、彼は家庭を、子どもを優先する。
私ももちろん、優先すべき時はするけれども、一事が万事ではない。
何が正しいか、正しくないかは分からないが、
少なくとも、私とNちゃんの考えが違うのだと感じた出来事であった。


久しぶりに心が通じ合っていると感じたデートのあと、
彼から届くメールにはいつものように絵文字が多用されていた。
「愛してる」、「大好き」の言葉とともに。
この平穏がどのくらい続くのか…

この顛末で、私はNちゃんの気持ちを確認できたし、
自分のわがままさ加減も改めて知った。
そのわがままで失いたくないものまで、
いとも簡単に失ってしまうのだということも。

だから、余計にこの関係を大事にしようと心に刻んだ。
翌朝、10時前にメールが届いた。
「姫ちゃん、おはよう。昨日はグズグズ言ってゴメンね。
オレが姫ちゃんを包んであげなきゃいけないのに・・・」


私が起きているだろう時間を見越してこの時間にメール送信したのだろう。

「おはよう、Nちゃん。…ううん、私のせいだから。」

「姫ちゃんのせいじゃないよ。地球が丸いのもオレのせいだから。」

彼のユーモアに、明るい答えを感じた。
昨夜頭痛がひどいと言っていた彼、その朝は私に頭痛があった。

「今朝は私が頭が痛いです。」

「きっとオレのせいだ…(>_<)ゴメンね、姫ちゃん。」


「謝らないで、もういいから。おあいこ。
Nちゃんの頭痛も、色々な嫌な思いも全部私のせい。ごめんなさい。」

「姫ちゃん、愛してる。ずっと一緒に居たい。」






これが年始の顛末だ。




「ずっと好きだよ」とNちゃん。

「じゃあ、私のナイト役は降りないでね。」

「降りてないよ。」

「かろうじて降りてないけど、下りようとしたことが大問題なの!!!」

「かたじけない…」

「降りない?」

「安心してください!大丈夫です。」
「分からない」と言ったNちゃん。
そう言わせてしまったのは私。

思いやりがないと責めた私に、そもそも思いやりがなかった。
彼を責めることばかりに終始し、私は彼に愛されていることを忘れていた。
こんな私を愛しいと思うわけがない。
こんな私と一緒に居たいと思うわけがない。


その夜、私は、少し前に記事に書いた『年下の男の子』と
二人新年会をした。
下戸の彼が私の自宅近くまで車で迎えに来て、近所の居酒屋へ行った。
そのことが私に気分転換をさせてくれ、私はその席でNちゃんにメールを送った。

「今日はありがとう。もう逢えないかもしれないと思っていたので、
嬉しかったです。私はNちゃんが変わらず大好きで、ずっと一緒に居たい
と思っています。あとはNちゃんが決めてください。」


『年下の男の子』と他愛もない会話をしながら時々携帯に目をやったが、
何の着信もなく、夜は更けた。


宴もたけなわな頃、ふと目をやると、メールの着信。
私がメールを送って5時間以上経った11時過ぎにNちゃんのメールが入っている。
2通も。

「今日はおいしいお好み焼きを一緒に食べることができて楽しかった。
ありがとう。オレは姫ちゃんが大好きだし、ずっと一緒に居たいと思っています。
でもね…オレのせいで姫ちゃんにまたガッカリさせたり、イライラさせたりするのかと
思うと、正直気が重いです。自分でもどうしたらいい のか分かりません。
謝ってばかりいる自分が情けなくって…ほんとにごめん。」

「姫ちゃん、頭痛が収まらないからそろそろ寝ますね。お先に。おやすみなさい。」



”ごめん”は何を意味するんだろう。
もう一緒には居られないのかもしれないな。けど、おやすみのメールも
こうして送ってくれる・・・

私は彼を責め立てたし、思いやりもなかった。
けれど、その時その時、私なりに感じたことをNちゃんにぶつけただけだ。
もし、これでダメなら、遅かれ早かれダメになったろう。
だから、私はそんなに後悔はしていなかった。
私も、Nちゃんも精一杯ぶつかり合ったと思うか ら。

彼からのメールが届いたのに気付いたのがしばらく後だったので、
私はこう返した。
「Nちゃん、メールありがとう。私は自分の要求ばかりして、
思いやりが足りなかったのは私の方です。ごめんなさい。
今日は新年会なんだ。返信できなくてごめんね。Nちゃんは今のままでいい。
変わらなくていいから。もし、変わるなら二人で一緒に変わって行けたらと思います。
頭痛、私のせいかな。ゆっくり休んで。おやすみ。」
布団をかぶって目を閉じた。
Nちゃんの言葉が胸に突き刺さり、息もできないくらいに苦しかった。
私はどこまで彼を責め立てたのか・・・

Nちゃんは私に応えようとしてくれているのに。
どうして、マイナスにばかり目を向けてしまうのか、
悲しい思いと、悔しい思いが交錯した。


1時間ほど経っただろうか、メールが届いた。
「今、〇○に着いたよ。」
Nちゃんから、唐突に。

一瞬でベッドから飛び起きて
「私に逢いに?」と返すと、「そうだよ」と返ってきた。

時刻は13時を少し回ったところ。 < /div>
きっと、あれからNちゃんは悶々と考えて、行動してくれたのだろう。
彼は意志の固い人だから、決めたことをそう翻意するとは思えなかった。
なのに、こうして動いてくれた・・・

嬉しさと、怖さを半々に感じながら、いつもの待ち合わせ場所に向かった。
彼の車の助手席に乗って、私は「ありがとう」と言った。
Nちゃんの表情は硬い。

「今日は逢わないって言ったけど・・・逢いたかったから。」
彼はほんの少しも笑みを浮かべずに言った。
「姫ちゃん、ご飯食べに行こう。お腹空いた。」

重い空気を払拭するようにそう言って、Nちゃんは車を発進させた。


車の中 では、まるで何にもなかったかのように、
他愛ない話をした。いつもどおりに。

お昼ごはんを食べ、「初詣に行こう」と、
前に私が教えた智慧のご利益があるお寺に出掛けた。
おみくじを引くと私もNちゃんも「小吉」でドローだった。

「姫ちゃんとドローだったのが気に入らない。」
そう悔しがるのもいつも通りだった。
「次は絶対に負けないから。」

”次”という言葉に深い意味を感じて、私は
「また勝負するの、私と?」と問い返すと、

「当たり前。これは儀式のようなものだから。」
と、彼は答えた。

夕方5時を過ぎ、車に戻って空気はまた一変した。
審判の時だ。


「オレは姫ちゃんが好きだよ。一緒に居たいよ。けど…」

「けど?」

「オレのせいで姫ちゃんがイライラしたり、不快な思いをするんだったら
オレはいない方がいいと思う。」

「私もNちゃんが好きだよ。一緒に居たいよ。どうして、
”いない方がいいと思う”って勝手に決めるの?
一緒に居たいか、居たくないか。好きか、好きじゃないか。
このどちらかだと思う。」

「考えるよ。」

「考えること?それとももう好きじゃないの?一緒に居たくないの?」

「…分からない。ちょっと考えてみるよ。」

そして私は
「考えることじゃないと思う。直感的なことだと思う。」
そう言いながら、Nちゃんの顔も見ずに車を降りた。
日曜日の朝、8時になる前の時間だったか。
「おはよう~姫ちゃん。」
そのメールで私は目を覚ました。

朝の弱い私は、休日は遅い時間まで寝ている。
それでも「おはよう」の4文字だけ、返した。

それにもかかわらず、メールはその一往復だけで
プツリと途絶えた。「おはよう」はすぐに返したのに。

眠りが断たれたこと、PMSもあってか、イライラが募る。
イライラと沸き立つような気持ちを抱えて、乱暴に家事をしていると
「姫ちゃ~ん、今日は12時30分ごろに待ち合わせでいですか?」
と来た。「おはよう」から 2時間経った頃だったか。

私は「いや」と返した。

少しして「じゃあ12時は?」と届いて、
私はあふれるようなイライラの爆弾をNちゃんに投げつけた。

「すごく嫌だし。だいたい、朝だって、私はNちゃんのメールで
目が覚めて、それでも「おはよう」と返しました。
なのに、何にもなくて。だったら、落ち着いてからメールしてください。
ひと言『これから○○だから、また後でね。』と伝えることが
私に対する思いやりだと思いませんか?忙しいのなら、もういいです。」

そう送った時は、「ゴメン、ゴメン」と返ってくることを想像していた。
私はそう受け止めて欲しかった。
・・・けれど、現実は違った。

届いたメールは読むのが怖いくらいに長文だった。
「姫ちゃん、本当にごめんなさい。朝、寝ていたのを起こしちゃったんだね。
オレは思いやりを持っているつもりですが、本当は思いやりがないのかも
しれない。いつもガッカリさせてばかり、不快な思いをさせてばかりでごめんなさい。
オレなりに努力しているつもりなんだけど、伝わらない。
今日は逢いにいくのをやめておきます。」



最後の一文が胸に刺さった。
すぐに「逢いに来て」と送ったけれど、返信はなかった。

「お願い、逢いに来て」と何度も何度もメールした。
電話もした。けれども、返事はなかった。


半狂乱になりながら「お願い、お返事して。」
と送ると、

「オレから逢いたいって言っておきながら、ごめんなさい。
今日は逢わないって決めたから。」と返ってきた。

それでも食い下がって「逢いに来て」、
「なら、逢いに行く!」とメールしたけれど、
返ってきたのは「それには及びません。」だった。

そして「またあとでメールします」と届き、
私は行き場を失ってしまった。
本当なら、今ごろ、家を出る準備をしているのに・・・
今ごろ、逢っているのに・・・

どれだけ後悔しても、時間は戻せない。
苦しくて、どうしようもなくて、私は、部屋着に着替え、
布団をかぶった。
一日メールを返信しなかった私に
「待ってて、すぐに行くから」
と、逢いに来てくれたのが木曜日の夜のこと。先々週のことだ。

オフィスの駐車場に停めた車の中で、言葉少なに話をし、
彼は遠慮がちに私にキスをした。

本質について話すことはなく、他愛もない話に終始しながらも、
でも、Nちゃんは「オレは姫ちゃんが好きだよ」と言ってくれた。

ここで、私の心をオープンにすれば良かった。
今となっては何を求めていたのか分からないが、
私は心を閉ざし、かたくなな態度を取った。

私の気持ちは晴れず、 土曜日に彼からメールが来た。
「今日は急きょ出勤することになったよ。
姫ちゃん、日曜日逢いたいから、逢ってくれますか?」

かたくなな私にいつもと変わりない絵文字をつけて、
彼なりに事態を収束させようとしたのだと思う。
私はこう返した。
「お昼ごはんを一緒に食べて、いつもの時間くらいまで
居られるのだったら、逢ってもいいけど。」

なんて、横柄な・・・
でも、私なりに譲って、自分の気持ちを伝えたのだ。
お昼ごはんをもうしばらく一緒に食べていない。
私に与えられる時間の制限をひしひしと感じる。

そんな横柄なメールに対して
「はい(*^_^*)じゃあ、逢っ てね。」と、Nちゃんから返事が来た。


これで、私は全てを収めれば良かったんだ。
その翌日から、私は最低限のメールしか返さなくなった。
Nちゃんからは相変わらず、穏やかで優しい言葉が送られてくるにもかかわらず。

翌日の夕方には電話もかかってきた。
なのに、私はぶっきらぼうにしか返事をしなかったし、
「日曜日デートできますか?」の問いにも
「うーん・・・分かんない」としか答えなかった。

その翌日は彼からのどんなメールにも返事をしなかった。
心の中で「今日逢おう」の言葉を期待していたからだ。


でも、そんな冷たい態度をとる私にNちゃんが逢いたいと思うはずがない。
そんなこ とすら私は気付かなかった。
その夜、私は仕事でNちゃんの自宅の近くを通った。
通りながら、「こんなに近くにいるのに・・・」と思った。
一日、彼からのメールを無視しているにもかかわらず。


仕事を終え、彼の自宅近くから遠ざかる。
遠ざかる寸前、信号待ちで、私はこらえきれずメールした。
「さみしい」と。

時刻は午後8時を回っていた。
お風呂に入る頃だろう。メールに気付かないかもしれない。
そう思いながら、車を走らせていると電話が鳴った。
「姫ちゃん・・・心配したよ。オレは好きだよ。」

「うん・・・」

「車?仕事?」

「うん。今、〇○に居たの。帰り道。近くに居たから。
さみしくなった。」

「そうなのか・・・」

「うん。」

「姫ちゃんのこと、大好きだよ。」

「うん・・・」

「今どこ?もう帰った?」

「今、会社に着くとこ。」

「じゃあ、待ってて。すぐに行くから。」
連休など長い休みがあると、いつもこうなる。
ゴールデンウィークも、夏休みも、お正月も・・・
連休になると、生活スタイルの違いを思い知らされるからか。

発端は、年始早々のこと。
私もNちゃんも4日が仕事始めだった。
三が日は逢うこともなく、年末は30日に逢ったのが最後だったので、
私はかすかに期待をしていた。
12月の記事にも書いた「平日の夜に逢う」というお願いのこと。
Nちゃんはそのお願いに対して「お安い御用」と答えていた。


だから、私は週末まで待たずに、きっと逢えるだろうと期待してい た。
逢えるはず、逢いたいと思ってくれるはずと、タカをくくっていた。
それでも、仕事始めの4日はまだ気にせずにいられた。
が、5日になって、こらえきれず、私は彼にこうメールした。
「Nちゃんに逢いたい。」

けれども、彼から返ってきたのは
「逢いたいね~。いっぱいキスしたいね。」
と、希望的な表現のメール。

私は畳みかけるように「今、逢いたいのに…」
と送ると、「姫ちゃん、ゴメン。」とだけ返ってきた。

「いやだ」

「ゴメン、ゴメン。」

「イヤダー」

「姫ちゃん、ごめんね。」

「Nちゃんはやっぱり私 に時間を割いてくれない。」

「ごめんね、姫ちゃん。時間を作れる時には作るから待っててね。」


私は、とても嫌だった。
何が『お安い御用』だよ!お安くないじゃないか!
それに、時間を作れない理由も知らされず、ただ、「ゴメン、ゴメン」
と返される、その無神経さに我慢ならなかった。

「Nちゃんのその言葉の選び方も、逢えない理由を知らせてくれないのも
ものすごく嫌で、とても不愉快です。
平日の夜逢うことをお願いしたら、『お安い御用』と言ったんだよ。
全然お安くないし。『こうして欲しい、こうして欲しくないって何でも言ってね。』
って、言ったのはNちゃんだよ 。だったら言わなきゃいいのに。
そういうことにすごく憤慨しています。」


冷静さを失って、頭に来たままにメールを送信してしまった。


そして彼からこう返ってきた。
「不快なメールを送ってごめんなさい。出来ないこともあるのに、
お安い御用って言ってごめんなさい。こうして欲しい、こうして欲しくない
って言ってね、って言ってごめんなさい。」


私は思った。
また『ごめん』かよ・・・