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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

先日の土曜日、私は終日仕事だった。
事前にそのことはNちゃんに言っておいたのだけれど、
それを覚えていたかどうかは分からない。

Nちゃんに逢えるとしたら、翌日曜日。
なのに、土曜日の夜、電話で話した時には
何の話題にも上らなかった。
「明日は逢える?」そう聞こうかと思ったけれど、
勇気がなく、躊躇した挙句に聞くのをやめた。

逢えるのか、逢えないのか、
逢いたいのか、逢いたいと思わないのか。
Nちゃんの真意を測りかねたからだろうか。
その夜、私は苦しい夢を見た。

何度電話をかけてもNちゃんにつながらない。
かけても、かけてもつながらず。
胸が圧迫されるような感覚で目が覚めた。

日曜日の朝、いつものようにおはようのメール。
数通のメールを交わしても、まだ逢えるのか、逢えないのかが
分からなかった。

キリキリとしているところに、こう届いた。
「姫ちゃん、今日は昼から車を使われてしまうんだ(>_<)」

彼が子どもたちを連れて出かける時に、こういう表現はしない。
つまり、彼の意に反して、彼が好まず、出掛けざるを得ないということだろう。
彼の奥さんは車を持たず、また運転も出来ないのだと察する。
運転手役になるということだ。

「イヤダ、イヤダ、イヤダーーーー」と返したが、
そんなこと通用するわけもなく、

「この埋め合わせは必ずするから。」と彼。

「じゃあ、今夜」と食い下がると、

「お嬢のバイトのお迎えがあるんだ…(>_<)」と返ってきた。
(少し前に、夜バイトの帰り道、不審者に追いかけられるという
事案が発生したせいで、夜は必ずお迎えに行っている)

「うーん…じゃあ、明日!」とさらに食い下がった。
だって、『オレには何でも遠慮せず言ってね』と言ったから。

明日、つまりは月曜日のこと。
大方、無理を承知でそう言ったのだ。
すると、Nちゃんから返事が来た。

「明日は大丈夫だと思う(^^)」
あっさりとニッコリマークもついている。

だから、「『思う』じゃダメ!絶対!」と送ると、

「分かったよ(^^)」と返ってきた。


だって、『何でも言ってね』って言ったんだもん。
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連休の最終日、Nちゃんに逢って話をした。
私から「逢いたい」と誘ったのだけれど、心の中は複雑で、
これからのことを決めかねていた。

Nちゃんも、そのことを感じるのかしきりに私の表情をうかがい、
また、何かを確かめるかのように握る手に力を込めてきた。

喫茶店でコーヒーを飲み、
「散歩しよっか」と、私は外を指さした。
そこには湖畔をぐるっと巡る公園がある。
「いいよ。」と、彼。

そこは犬の散歩をする人、ウォーキングをする人、
ジョギングをする人で賑わう、郊外のスポットだ。
昼下がり、秋の爽やかな風の中を、手をつないで歩く。

時折、Nちゃんは立ち止まると、私の前に回り込み
身をかがめてキスをした。そんなことが数度。

ぽつりぽつりと話をして、しばらく歩いたところで、元来た道を引き返した。

自転車に乗る人、後ろから追い抜くランナー、すれ違う人。

突然、Nちゃんは私の手をパッと離した。
何も言わず、ただふいに。
そして微妙に足早に歩き出し、私の斜め前方に出た。

50メートルほど前方にトレーニングウェアに身を包んだ
50歳くらいの男性がジョギングをしてこちらに向かってくるのが見えた。

Nちゃんは明らかにその男性を意識して、私の手を離したと思われ、
私は、そっと視線を外した。

その男性が近付いたところで、私の斜め前を歩くNちゃんが声を発した。
「オッス」

その男性はNちゃんを見て、「おぅ」と言い、足を止めることなく
走り去った。

斜め前方を歩いていたNちゃんはしばらくして歩みを緩め、私と並んだ。
「・・・知ってる人だった・・・・・」

「そうなんだ・・・」
私は、そう答えたが、彼は呆然と前を見たままこう続けた。

「ここは危険だった・・・」

Nちゃんと並んで歩いているのに、二人の距離はうんと遠く感じた。
前から、後ろから人が来るたび、
タッタッタと走る音が聞こえてくるたび、Nちゃんが身構えているのを感じた。

少し前に郊外の森林公園で「同僚」と呼んだ若い男性に遭遇した時、
Nちゃんは私の手を離さなかった。
その時とは明らかに違う。

ジョギングをしていた男性はNちゃんの先輩に違いない。
挨拶の仕方からして、上司ではなく先輩なんじゃないかと推察できた。
しかも、非常に近い立場の。
だから、こんなに動揺しているんだろう。


私は何も言えず、ただNちゃんとのむなしい距離を感じたまま歩いた。
そんな私の気持ちを察したのか、何なのか分からないが、
少し歩くと、Nちゃんは私の手をそっとつかんだ。


さっきと同じように手をつないでいるのに、手と手の間には
さっきとは違う何かがあった。



もう、ここには来れないね。
来ちゃだめだね。
私という浅はかな人間


恋愛にしろ、子育てにしろ、誰かと深く関わるということは、
やはり自分を知ることなのだと思う。

自分一人では気付かないことを、気付かせてもらう。
私という人間はなんと浅はかで、なんと堪え性のない人間なのかと。

ここしばらく、ずっとNちゃんと不安定な状態が続いていた。
それもこれも、全部私のせい。
それを私は全部、Nちゃんにぶつけた。

「何とかしてよ!!」と。

彼は彼なりに言葉を選び、言葉を尽くして答えてくれたのに、
私はきりきりとなおも詰め寄った。
詰め寄ることは、私自身の首を絞めることに他ならないのに。

これでNちゃんが私を放り出したら、あっさりと終わっていたと思う。
現に私は「もう無理だと思う」と、言ったから。
でも、彼は私に向き合って、私を掴んでいてくれた。


昨日、彼と逢って話をした。
「オレは姫ちゃんを諦めないよ。愛してるから。
でも…オレがいることが姫ちゃんの負担にしかならないなら、
オレはいないほうがいいよね。姫ちゃんには笑っていてもらいたい。
姫ちゃんを愛しているから…」


Nちゃんは、いつもそう言ってくれる。
なのに、私は自分のことばかり。求めることばかりで、与えることができない。
そんな私に、彼は変わらない愛情を注いでくれているのに。
私はなんと浅はかな人間なのだろう。

「終わりにしたほうがいい?」Nちゃんが私を見つめた。

「イヤ…まだ嫌いになっていないから。嫌いになるまで一緒にいる!」
泣きながら、私がそう答えると、彼はフッと笑った。

「良かった。安心したよ…でも、嫌いになったらはっきり言ってよ。」

そして、Nちゃんは私を抱きしめた。
「どうして欲しいとか、ちゃんと何でも言ってくれればいいのに。
遠慮せず何でも言ってね、って言ってるでしょ。でも、言えないんだよね。
怖いんだよね…なんでかなぁ。きっと姫ちゃんは、オレに言えないんだね。
嫌われちゃうとか、そう思っちゃうんだね。そんなこと思うわけがないから。
いいんだよ、何でも言っても。」
そう言いながら、彼は私の頭を撫でた。



帰宅して、Nちゃんからメールが届いた。
「オレは姫ちゃんを諦めないから。姫ちゃんが挫けそうになっても、諦めない。
姫を愛しているから。何でも話し合って乗り越えていこう。
オレの愛はなくならないから。
姫ちゃんはいつもオレだけを見てくれているよね。すごく嬉しいんだよ。
姫ちゃんがグズグズ言うのも、オレのことをずっと考えているからでしょ。
なのに、オレが100%応えてあげられなくてゴメンね…」



私は何を求めているんだろう…
何でこんなにグズグズ言っているんだろう…

私がとにかく浅はかな人間なのだということを改めて知った。


「ごめんなさい。」

「謝らないの!オレはグズグズ言う姫ちゃんも好きだよ。今の姫のままでいいよ。」
恋に落ちるのが魔法だとしたら、
パッと魔法が解けて、恋から覚めたらいいのに。



もうずっと、何度も何度も同じことを繰り返している。
それで私はどんどん消耗している。


もう諦めるしかないのかな。
諦めるのも、続けるのも、同じだけ辛いから。
せめて魔法を解いてくれないかな。


疲れたよ。
Nちゃんとしたいことや、行きたいところはたくさんある。
けれど、そのほとんどどれも叶わない。

遠くに出掛けることや、レイトショーに行くこと、
お酒を飲みに行ったり、お泊りしたり、
あんなこと、こんなこと・・・

全部全部叶わないことだらけ。


Nちゃんなりに、私のことは考えてくれていると思う。
多少の無理だってしていると思う。


でも、それ以上は全然望めなくて。

なのに、「大好きだ」と言うし、
「ずっとそばにいたいと思ってるよ」と言う。


こんな何もかもが叶わない状態で、
ずっとそばに居るよって言われると、心が痛い。


Nちゃんが私を愛してくれているのは本当だろうが、
私は彼を信用できなくなっている。
今、Nちゃんからこんなメールが来た。
「今日、姫ちゃんがオレの鼻水拭いてくれるのがメチャ嬉しかったよ。」


そうそう。
今日、午後からNちゃんとデートをした。
鼻がグズグズしているので「風邪?」と聞くと、
「アレルギー性の鼻炎だと思うんだよね。」と、彼。

今朝早くに、社宅の草刈りがあったそうで、その時に
花粉だかホコリだかをいっぱい吸い込んだからじゃないかなと言う。

鼻水はツルツルと流れて止まらず、苦しそうだ。

公園の中の茶店で向かい合って座り、
ふと、Nちゃんの顔をまじまじと見ると、鼻水が垂れている。

思わず、私は手元のおしぼりをそっと彼の鼻に当てた。

「垂れてた?」
「うん。気付かなかったの?」
「うん。気付かなかった。」
「もうっ、、、」

コーヒーを飲みながら、その後も、
私は何度もNちゃんの鼻水を拭った。


帰り道、ハンドルを握るNちゃんは苦しそうで、
ティッシュを小さくたたんでは、鼻に詰めている。
それがおかしくて、おかしくて。

信号待ち、ふいに私の方を向いて話をしている時、
Nちゃんは大きなくしゃみをした。
とっさにNちゃんは顔を背けたが、私にはミストが・・・
「Nちゃん、、、、ミストが、、、」
「ごめん、ごめん。」




鼻水を拭いたのが嬉しかったという彼にこう返信した。
「目の前で鼻水垂らしてるんだもん。拭くでしょ、普通。」
「なぁーんだ」
「Nちゃんにしかしないよ、もちろん。他の人にはするわけないし。」
「そうなの??」
「当たり前でしょ。Nちゃんが愛おしいから、鼻水も拭くし、
ミストを浴びても平気なんだよ。」

「あ!失礼しました。姫ちゃんの方を向いてクシャミしてごめんなさい。」
今日、Nちゃんとデートをした。
久しぶりの秋晴れ、向かったのは森林公園。

車を降りて、林を抜け、公園へと続く階段を上っていると、
前方から若いパパと幼児が下りてくるのが見えた。

私はNちゃんと手をつないで、前を向きながらNちゃんを見ながら話をしていた。
ふいに、Nちゃんが歩みを止め、声を発すると同時に、その若いパパも
「こんにちは」と言った。

一瞬、よくある山道でのすれ違い時の挨拶かと思ったら、、、
その後も少々の会話が続く様子があったので、とっさに私はNちゃんの手を振り払って、
会釈をしながら、少し離れた。

Nちゃんはすぐに私に続き、再び、手を取って歩き出した。

きっと同じ職場の人なのだろう。
Nちゃんと同じく体育会系の精悍な風貌だったから。
けれど、そのことに関してNちゃんは何も言わなかったし、
私も何も尋ねなかった。


しばらくして、園内の茶店で休んでいるときに、Nちゃんが言った。
「さっきの同僚なんだ。」


Nちゃんが言ったのはそれだけ。
私が興味なさげに「そうなんだ。」としか、言わなかったから。


Nちゃんの職場は上下関係が厳しい。
その若いパパはどう見ても一回り以上年下だ。
けれど、Nちゃんの部下というような態度を見せなかったので、
おそらく同じ部署に居るわけではないのだろう。
そんなに親しげではなかったし。


そう思うと、私はとっさにNちゃんの手を振り払わないほうが良かったのか。
現に、Nちゃんは私の手を離そうとしなかったから。


『大丈夫なの?』
そう聞きたかったけれど、何も言わないんだから、まぁ、いいのかな。
私にはとても真似出来ないことを、Nちゃんはいとも簡単にする。
私の機嫌が悪くても、「触らぬ神に祟りなし」というようなことはせず、
とにかく真っ直ぐに私に向き合ってくるし、
また、私が誰かと出掛ける時には、必ず「楽しんおいで」と快く送り出す。


Nちゃんには簡単にできることが、私には出来ない。


私の機嫌が悪くなるきっかけがNちゃんだったとしても、
それは、単に私の心が狭いだけのことだし、逆に立場だったとしたら、
そんな心の狭いヤツに対して、私は優しくなんて出来ない。

そういうつもりはなくても私を放って、私以外と出掛けるNちゃんに対して
「楽しんできてね」なんて言えない。


もう一つ、私に出来ないこと。
それはちゃんと「ごめんなさい」を言うことだ。


昨日のこと。
私の家の中の出来事のせいで、私は勝手に一人イライラしていた。
Nちゃんに頼れないイライラが寂しさに変わり、それを彼にぶつけた。
私としては最大限に素直に「さびしい」と表現したことに、
Nちゃんはいつものように穏やかに「どうしたの?ヨシヨシ」と答え、
その後も「愛しているよ」と続けてくれた。

彼が受け止めてくれたことに安心しているところで、プツリとメールが途絶え、
せっかく回復した私の気持ちがまた沈んだ。

そして2時間後、
「これから雨がまたひどくなってくるみたいだね~」
Nちゃんから、唐突に脈絡のないメールが届いて、私のガッカリが頂点に達した。

「ほっとかないでよ。」
本当は何も返さずにいようと思ったけれど、私なりに譲歩してそう送った。

「ごめんね~姫ちゃん。娘を迎えに行って、ドラッグストアに買い物に行ってた。」
お嬢さんのバイトの帰りを迎えに行ったという。
それはいい。買い物だって、全然構わない。

「私を放っておくNちゃんなんて大キライ」

「キライって言わないで…」

「構ってくれないからもっとキライになる。」

「もっと…って、既に嫌いなの?」
その反応にカチンときた。(逆ギレなのは重々分かっている)

「Nちゃんが私を大事に思ってるとは全然思えない。」

「そんなことないよ。大事だよ。必要だよ。
姫ちゃんにそんなふうに思わせて、ごめん。ご機嫌直してね。」


心を落ち着けて、自分の気持ちをできるだけ素直に伝えてみようと思って、こう送った。

「日曜日に家で色々あったのね。でも、それは自分で何とか
しないといけないことだから、私は踏ん張っているの。
倒れそうになるくらい辛いんだけど、それを心に仕舞って、飲み込んでいるのね。
Nちゃん、知ってた?Nちゃんに助けてもらいたいけど、そういうわけにはいかないから。
でも、今日はさびしくて、さびしくて。だから『さびしい』って言ったんだよ。
Nちゃんが恋しかったから。
出掛ける前にさ、『ちょっと出掛けてくるから、またあとでね』って言ってくれたら済むじゃない。
そうすることが私に対する優しさだとは思わない?
Nちゃんがどれだけ私を想って、愛していても、
行動になって表れなければ、私には伝わらないんだよ」


すると、Nちゃんからすぐに返信があった。
「うん、そうだね。姫ちゃんの言うとおりだよ。本当にごめん。
もっともっと優しくするから…もっともっと想いを伝えるから…姫ちゃん、さびしかったね…」


Nちゃんは、いつもこうして私に「ごめん」と言う。
私の気持ちをくみ取って、決して卑屈にならずに「ごめん」が言える。
私は、こんなにも優しい人を知らない。
昨夜からバイオリズムの波なのか、どうも力が入らない。
一人で静かに過ごしたくて、Nちゃんのメールには
「そっとしておいて」と、返した。

「ご機嫌ナナメっていますか?」
「わりと。」
「オレのせい?」
「違うと思います。」
「良かった…一安心。」

そしtr、以降のメールには何も返さずにいた。
とにかく放っておいてほしかった。

そして、今日、いつものようにメールが来たけれど、
私は最低限の言葉を返した。
絵文字がいっぱいのNちゃんに対して、私のメールは味気のないモノクロだ。

夕方、「これから帰るね~」のメールに、「おつかれさまでした。」と返すと、
直後に電話が鳴った。

「姫ちゃん、もう仕事終わった?」
「うん。」
「おつかれさま。」
「ありがとう。どうしたの?」
「声が聞きたかったの。」
「そっか、、、ありがと。」
「何か問題でも?」
「ううん、ありがとう。」
「オレはこれから帰るね。」
「うん。気を付けて。」


そして、私は夕食を作り終えて、出掛けた。
家に居たくなくて、友人の経営するバーに一人で行ったのだ。
いつもなら、「これから出掛けてくるね」とメールするところなのに、
意地悪な気持ちでつい、何も連絡しないままでいた。

その後、しばらく友人と話し込んでいたので、Nちゃんにメールもできず、
また、Nちゃんから届いた「お風呂上がったよ」にも返信できなかった。


その数時間後、私は帰宅して「出掛けていました。ただいま。」と、メールした。

「そうなんだね。」

「うん、ただいま。」
余計な心配をするかと思って、どこに出掛けてたのか触れずにいた。

「おかえり。」

Nちゃんにしたら珍しい、短文でモノクロのメールが続く。

「ごめんね。」と送ると、
「どうして?」と返ってきたので、
「心配しているかと思って。」と送った。

「いつも心配してます。」
「ごめんね。メールできなくて。」
「お気になさらず。」

何、お気になさらず、って。
これはヤキモチか…

そう思っていると電話が鳴った。
「ごめんね。」
「いいよ。謝らなくて。オレは『ほっとかないでー』とか言わないし。」

何とイヤミな言い方なんだろう。

「『オレはほっとかないでー』って言わないから、私も『ほっとかないでー』って言うなってこと?」
「そんなこと言ってないでしょ。」
「うん、、、ごめんね。」
「気にしなくていいよ。姫ちゃんだって、色々忙しいんだろうし。
メールできないぐらいでオレは何とも思ったりしないから。」

うーん、、、言い方がものすごく冷たい。

「そうなんだ、、、でも、Nちゃん、トゲっとしてる。」
「してないよ。全然。オレ怒ったりもしないし。何とも思ってない。」



そんな堂々巡りの会話をして電話を切った。
私が何のメールをしなかったのがいけなかったんだ。


Nちゃんはやっぱりヤキモチを妬く人なんだ・・・・・・


私のせいなんだけど。
「日曜日は○○に行くことになった。だから土曜日。」
Nちゃんから一昨日そう言われて、デートの約束をした。
日曜日は仕事で少し遠くに行くという。

「姫ちゃんは何がしたい?」
「戯れ。」
「アハハ、、、」
「Nちゃんは?」
「オレも戯れ。」

そして、今日、Nちゃんと昼下がりに戯れてきた。
少し前にエロエロメールのやり取りで「どんなふうにしたいか」を聞かれていた。
だから私は、「ゆっくり、深く。時々そのまま動かずにいて。」と答えた。

今日は、いつも以上に時間をかけて愛し合った。
そして、いつも以上に心が通じ合っている気がしていた。

まずはソファで戯れて、バスルームに行く。
私は、腕を広げて立っているだけで、Nちゃんが全部洗ってくれる。
バスタブにつかり、後ろ向きで私を抱くNちゃん。
腕が伸びてきて私の脚の間を割る。
私はくるりと回転して、向かい合わせになってNちゃんに抱きついた。
腕の太さと肩の厚みを確かめるように、腕を回してしがみつく。
Nちゃんは腰の位置をぐっと沈めて、私の中心に挿し込んだ。
彼は静かに目を瞑っている。だから私も静かに腰を沈めた。
ただじっとしているだけで、心も満たされている。
彼の首筋にキスをして、今一緒に居るんだということを確かめた。

ベッドの上では、まず、私が彼を愛して撫でた。
胸に舌を這わせて甘噛みすると「んん、、、気持ちいい、、、」と声を漏らすNちゃん。
そのまま下に降りて、口に含んだ。
さらに回り込んで舌を這わせると、余程気持ちがいいのか、
脚をグッと上げて私にお尻を突き出すような格好になった。
「気持ちいい、、、」そう言いながら、Nちゃんはじっと目を閉じている。

私が身体を起こすと、今度は攻守交代だ。
私の指を一本ずつ口に含む。柔らかな感触に気が遠くなっていく。
敏感な部分には触れそうで触れずに、私を心地よい世界へと導いた。
「うつ伏せになって。」Nちゃんに言われて、背を向けると、
今度は背中に何度も快感が走った。Nちゃんの舌が背中を往復しているのだ。
私はのけ反りながら声を出した。

どれだけ時間が経っただろう。
Nちゃんは私の腰をグッと引き寄せて、正常位で挿入した。
そして、ゆっくり、ゆっくりと沈めて、またゆっくりと離すを繰り返した。

私は何度も「Nちゃん、、、」と呼んだ。
幸せ過ぎて涙が出そうだった。
「なぁに?」いつものように穏やかに微笑むNちゃん。

体力を消耗したのか、彼はドサッと仰向けに寝ころんだので、
私はそっと跨って、静かにそっと腰を沈めた。
すると、今までにない快感の波がやってきて、私は静かに達した。

今まで、Nちゃんとのセックスでこんなに感じたことがなかった。
気持ちよくなりたい、もっと結ばれたい、その一心で必死だったような気がする。
それが、今日は違った。そんなことは全く思わず、素直にNちゃんを愛した。
目を閉じて静かに集中すると、また波がやってくる。何度も何度も。
「あぁ・・・気持ちいい・・・」

疲れ果てた私を抱きかかえて、Nちゃんが再び、正常位で挿入した。
私を抱き抱えるようにしているので、身体が密着している。
Nちゃんの動きがどんどん速くなり、息遣いが変わった。
「姫、愛してるよ・・・あぁ・・・イクよ。もうイクよ。このままイクよ・・・」

Nちゃんが果て、私は彼の胸に抱かれた。
数秒後、寝息が聞こえてきたのに、安心していると、
今度は私の瞼が重くなった。

しばらくして、目が覚めた。一瞬、どこに居るのか、何をしているのか分からないくらいに
私は眠っていた。
Nちゃんはまだ眠っている。

私はNちゃんとこうして一緒に居て眠りに落ちたのは初めてのことだった。
寝つきが悪い私は、慣れない人となかなか一緒に眠れない。
だからNちゃんと眠ったことがなかったのだ。

きっとNちゃんにようやく慣れたのだろう。
だから眠りに落ちたし、こんなに気持ち良かったんじゃないかと思う。
私はなんて身勝手でわがままなんだろう。
何故、今あることに、今あるものに満足できないんだろう。

何故、何かと比較したがるんだろう。

Nちゃんのことは変わらず大好きだ。
けれど、私はどこまで行っても満足しない。満足していない。

彼が何を差し出しても、まだあるでしょと言わんばかりに、
もっともっとと求める。
私のためなら、何だって出来るんでしょと。


でも、それは本当にそれが欲しいから求めているわけではなく、
私のためにどこまでできるか、どこまで答えられるかを
確かめているだけのような気がする。


もっともっと、って。
そんなに欲しいの?
今あるものじゃダメなの?

ううん、そんなことない。
私は愛されているし、与えられている。
彼は変わらず、私に与え続けているのに。

足りない足りない、もっともっと、って。
そんなこと言ってたら、いつまでたっても足りるわけないよ。


そんな自分に疲れてきた。


けど、これが私。
いつまでたっても、何にも変わっていない。
あぁ・・・

日曜日、私は仕事で遠くに出かけた。
朝、「散髪に行ってきます」と、Nちゃんからメール。
彼は二週間おきに散髪に行く。
身だしなみには気を遣う人なのだ。

夜、帰宅してしばらくするとNちゃんからメールが届いた。
「今日、ショックなことが、、、」

「どうしたの?」
そんなことを言ってくるのが珍しいので、少し身構えた。

「散髪に行ったら、円形脱毛症が2か所もあることを指摘されたの。」

「えー?マジで?前に行ったときはなかったんだよね?」

「分からない。」

「何か思い当たるフシある?」

「ぜんぜん。」

「もしかして、、、、私のせい?私がグズグズばかり言うから。」

「アハハ、、、そんなことないよ。」

「でも、、、深層心理ではすごく嫌で、我慢しているのかも。」

「そんなことないから安心して。姫ちゃんがグズグズなんて、大したことないし。」

「ほんとに?」

「ほんとに。嫌ならとっくに別れてる。」

「でも、、、きっとそうだよ、、、」

「だーかーらぁー、全然、そんなこと思ってないから大丈夫だよ。
オレは姫ちゃんが大好きだから全部受け止めたいの。」

「うん、、、、そうならいいけど、、、、」

「そうなの!それよりもさ、オレはストレスフリーを自負してたのに、
それがショックで、、、まぁ、原因は分からないらしいから、気にしないようにするよ。」


うーん、、、
原因は何なのだろう。こんなことは初めてというし、
よく言われるのはやっぱり精神的なストレスらしいし。


いや、マジで、私のせい?と思ったんだけど。
違う、って言うから。
土曜日、前々から気になっていたカフェに行った。
カフェの前に立ち寄ったのは、願い事が何でも叶うという神社。
Nちゃんと並んでお参りをした。
(ずっと一緒に居られますように)心の中でそうつぶやきながら。

「確かこの辺なんだけど・・・」
事前に調べておいてくれたのだろう、Nちゃんがナビを見ながら言う。
彼の頭の中の地図は神級だ。空間把握能力に長けている。

どう見てもカフェなどありそうにない藪の中を進む。
車一台がギリギリの通れる道に緊張感が高まった。
「怖い怖い、、、」

しばらく進むと、カフェの駐車場が見え、Nちゃんは何とか苦心して車を止めた。
車から降りると、竹やぶ、小川と秘境の要素がたっぷりで、
虫もぶんぶん飛んでくる。
「きゃー、やだーーー」逃げ回る私に、Nちゃんは言った。
「ここに来たいって言ったの姫ちゃんなんだよ。」
「そうだけどさぁ、怖いんだもん。」


しばし歩くとカフェに到着。
そこはもう別世界だった。レトロな空間の中、ポツンポツンと席がある。
小川に面した席に二人並んで座った。

そこは静かで、恐ろしいほど時間がゆっくりと流れる場所だった。
Nちゃんは疲れているのか、しきりにアクビをする。
「眠い?寝ていいよ。」
「全然、眠くないよ。」と、彼。

居心地がいいのか、ソファに深く腰を沈めたNちゃんは、隣に居る私の肩に頭を置く。
それが嬉しくて、私は腕を回して彼の頭をなでた。
Nちゃんの顔と私の顔の距離は5センチほど。
Nちゃんがさらに顔を近づけたので、とっさに避けると
「なんでだよ・・・」と、彼。
「だって、人がいるよ。」
「誰も見てないよ。」
そして、私は観念した。

静かで、甘く、まるで時間の流れが止まったような空間。
私は今、Nちゃんとここに居る・・・そう心で思うだけで、
体が震えるほど幸せだった。
何も怖くない、何の不安もない、ただ満たされた時間に、
このまま時間よ止まれ!と何度も思った。

2時間程滞在しただろうか。
「さ、そろそろ行きますか。」
Nちゃんに促され、カフェを後にした。

「静かで良かったね。けど、オレはあんまり来たくない。」
まるで来るものを拒むかのような秘境にちょっと辟易としたのだろう。
「確かに、なかなか気軽に来れないね。」
また、Nちゃんと来たいと思っていたので、少しがっかりしてうつむいた。


「また、季節が変わって、冬にでも来よう。」
Nちゃんは優しく微笑んでそう言った。




夜、今日はありがとうのメールをした時に
「今日、カフェでNちゃんの隣にいた時、ものすごい幸せで
時間が止まればいいのにって思ってた。」と、送った。

すると、返ってきたのは「そうだったの??」という
まるで空気の読めない返事。

「そうなの。嬉しかった。」と畳みかけると、
「そうか。それなのにオレはアクビばかりしてごめん。」と来た。

「え?今さら?」と、ちょっと意地悪をしたら
「ごめんなさい。」と返ってきたのだけれど、

私はどの瞬間も全部嬉しくて、幸せだったことを伝えた。


カフェはガランと広い空間だったけれど、
私とNちゃんは切り取られたように、穏やかで甘い空気に包まれていたに違いない。