FC2ブログ

姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

日曜日のデートはお花見が雨で実現せず、
車の中での盛り上がりからラブホに行くも、
どこも満室で、これも実現せず・・・

結局、郊外のカフェでお茶をした。
1時間半ほど滞在して「行こうか」とお店を出たのが
もうそろそろ夕方のいい時間。

これでサヨナラか、、、と思っていると
「姫ちゃん、オレにもう一か所付き合って」と、どこかに車を走らせた。
しばらくして到着したのは、文房具の専門店で、
場所的には、私とサヨナラしてNちゃんが一人で行ったほうが近いところ。
ここに来たせいで、私の車の置き場所に戻るのは真逆の方向に行かねばならない。

「子供のころから文房具屋さんに来ると、ワクワクするんだ。
オレのオアシス。ここは週一で来るかな・・・」
彼は、そう言って今愛用中だというペンのインクを買った。

先週のデートで「ちょっとの時間しか私にくれない」と
駄々をこねたからか、、、
少しでも長く居ようとするために、彼はわざわざ逆方向の
文房具屋さんに来たのか。

その理由は分からないけれど、長い時間一緒に居られたことも、
彼のオアシスについて行けたことも、どちらも嬉しかった。
ふいに、こういう日常を切り取った時間や空間を共有できることが嬉しい。
スポンサーサイト



Nちゃんの失言はあったけれど、そのまま車の中で
際どいところまでいった。

カチカチでヌルヌルで、びしょぬれだった。

「姫ちゃん・・・入れたくない?」

「したいよ。」

そして車を出した。
彼とは週に一度は逢っている。
けれどもセックスするのは二週に一度で、セックスをしないときは
散歩をしたり、お茶を飲んだり、ドライブをする。
先週の日曜日にセックスをしたので、今週はないなと思っていた。

どこに行くんだろう、、、そう思っていると、
Nちゃんはいつものラブホに向かった。

けれど、そこは満室で
「今日は雨降りだからなぁ、、、いっぱいだなぁ。」

「そうだね。」

「姫ちゃんしたくない?」

「したいよ。」

「さっき姫ちゃんはオレのを舐めたから、
今度はオレがいっぱい姫ちゃんを舐めたい。」

そう言いながら、ぐるりとホテル街を巡ったけれど
どこもかしこも満室で、結局、悶々としたまま
「無理だね、、、しょうがない。あきらめておやつでも食べよう。」

そう言ってホテル街を後にした。
あぁ、残念。




でーもー、
ホテル街を巡りながらNちゃんは言った。
「ここはどうかな、、、行ったことないけど、、、」

「??」
どういう意味?


帰り際に確かめると
「姫ちゃんと行ったことがない、って意味だよ。誤解のないように。」

「そんなふうには聞こえなかったけど。」

「違うよ。こないだ、あそこの隣に行ったでしょ。
けどあっちは行ってないから。そういう意味で言ったんだよ。」

「ホントかなぁ??」

「ホントだよ。誤解のないように。」



ホントかなぁ、、、、
Nちゃんは私に対してよくこう言う。
「姫ちゃんが今まで付き合ってきた男は○○したでしょ?」あるいは、
「○○されたことあるでしょ?」

それがものすごく嫌で・・・


昔、20代のころ付き合っていた人とセックスしていた時のこと
「飲んで」と言われて、拒絶すると、
「他のヤツにはしたことあるでしょ?」と言われて、
ものすごく冷めたことがある。

というか、その彼のことは元々そこまで好きじゃなかった。
何となく勢いで付き合うことになり、あれよあれよと言う間に
結婚話にまで進展した。
でも、やっぱり元々好きじゃないわけだから、
上手く行くはずもなく、結局、婚約破棄という最悪な結果を招いてしまった。

あんなことを言われたから冷めたのか、
それとも元々好きじゃなかったから余計に冷めたのか、
今となってはよく分からない。


そのことは、ずいぶん最初の段階でNちゃんに話しているにも
かかわらず、彼はことあるごとに「他の男はこうだったでしょ?」と
聞いてくる。


今日だってそうだ。

桜を見に行こうと出掛けたが、雨降りで
公園の駐車場に車を停めて抱き合った。
Nちゃんはスカートの中に手を入れ、さらに深く指を潜り込ませた。

Nちゃんを触るとカチカチで、
みるみる湿り気を帯びてきたので、ジッパーを下した。
先端がヌルヌルしているのがトランクス越しにも分かる。
だから、ベルトも外して、中から引っ張り出して口に含んだ。

「気持ちいいよ・・・」吐息交じりの声を上げるNちゃん。
しばらく続けていると、「もうダメ」と、私の頭を引き上げられた。

「出ちゃうから・・・姫ちゃんの口に・・・出されたことある?」

「あのねぇ、、、、そう言うなら、Nちゃんだって。出したことある?」
ふくれっ面で尋ねたら、
「あるよ。」と言いやがった。


「だからぁ~!そういうことは言っちゃいけないの。
聞いちゃいけないんだよ。ほんと怒れちゃう!!!」

「そうなの??」



何でかなぁ・・・

たびたび聞いてくるんだよね、「他の男はどうだった?」と。
私はNちゃんを好きで、
彼は私を好いてくれる。

お互いを「かけがえがない大事な人」と言い合う。

けれども、誰かにとって私は、そういうのとは真逆の対象で、
Nちゃんも誰かにとっては何の興味もない人なのだ。


当たり前だけれど、そう思う。


今はたまたま
私は彼を。
彼は私を愛する対象として見ているけれど。


かつては、お互い、別の誰かを愛して、
また別の誰かに愛されていたんだ。


当たり前だけれど、それが切ない。


お互いの過去まで独占できるわけじゃないから。


そんな感情を抱くこともまた、恋なのか。
一昨日はあんなに噛み合わなかった私とNちゃん。
昨日はちょっと軟化した。

ラブラブモード全開な彼からのメール。
それだけで私の気持ちは一気に上がる。
現金なものだ、まったく、、、

それで、日曜日のことを思い出してたよ、とメールを送ったら、
「これ?」
と、Nちゃんからのメールに写真が添付されていた。

暗闇の中、青いライトに照らされた私の顔。
そそり立つNちゃん自身を握りしめ、先端に舌を這わせている写真だった。

「Nちゃん・・・やらしすぎだよ、これ。」
そう返信すると

「これは?」
と、再び添付されていたのは、

ベッドの上で後ろ向きに結合している写真だ。
鏡に映る二人の姿を捉えている。

私の顔は見えないが、スマホを構えるNちゃんの顔ははっきりと分かる。
「公序良俗にはんするでしょ、これは。」
と返すと、

「たまにはいいでしょ。」と返ってきた。

「媒体に残せて嬉しい?」

「うん。姫ちゃんの綺麗な姿をいつでも見られるからね。」
と、彼。


Nちゃんは動画も撮影している。
また今度見せてもらおう。


こんなふうにセックスしている姿を客観的に見たことがない。
だから余計に恥ずかしく、また、嬉しくもあり、
また、恍惚とした気分にもなれた。


私はNちゃんに不信感を持ち、
彼は彼で私に不信感を持つ。

こういう感情はやっぱり呼応するものなんだな、と
改めて思う。

不信感じゃないか、不安と呼んだほうが正しいか。
いずれにせよ、ネガティブな感情には変わりない。

私がいつまでもグズグズ言ってるのなんか、そりゃ嫌だろうし、
私だって「どんな私も受け入れる」って言ったじゃん!って思うし。
たぶん、根っこは同じ感情が、今二人の間にあるのは間違いない。


「姫ちゃん、酔っぱらって誰かに誘惑されたりしない?」

「うーん、そういうのもうメンドクサイよ。」

「でも、まいっかとかならないの?」

「好きでもない人とどうにもならないし。」

「でも、誘惑に負けて上に乗っちゃったりしない?」

「普通しないでしょ、そんなこと。」


・・・Nちゃんは、私を不安に思っているんだなと感じた。
でもね、あなたに感じている寂しさは、他のなんでも、誰でも
埋め合わせることができないのよ、

そう言いたかったけれど、言わずにおいた。




もう、なんなのさ。
何で私がこんなにヤキモキしなきゃいけないのさ。



と、思って、はたと立ち止まる。
・・・また足りないことばかり数えている。
足りていることを、どうして数えられないのだろう、私は。


毎日メールもしてくれるし、
電話だってかけてきてくれる。
週に一度は会う時間を作ってくれる。
ホワイトデーにはルビーのネックレスも贈ってくれた。
これは私に対する愛情の表れではないか。



なのに、やっぱ足りないことばかり数えている。
昨夜からずっと、Nちゃんと噛み合わずにいる。

私にとって、重要なことが彼にとってはさほどではなく、
とらえ方の違いが、二人の間に大きな違和感を生む。


だから、
「寂しくさせないで。」と、私が言うと
Nちゃんは
「ごめんなさい。」と言う。


この「ごめんなさい」に、私は全く納得がいかない。
どうして謝るのか。


「寂しくなんかないよ」と、何故言わないのか。


何故他人事のように「ごめんなさい」と言うのか。


「ごめんなさい」の理由が全然わからない。
なのに、Nちゃんは「ごめんなさい」と言う。


そう言われれば言われるほど辛くなる。
謝ってほしいわけじゃないのに。

ごめんなさいと言われると、
仕方がないんだから、まぁ、許してよ、
というようにしか受け取れない。


私が寂しいと言うことに対して、
「ごめんなさい」では、何も解決しないから。

そうじゃないんだよ、Nちゃん。




そのことがどうにも伝わらない。


以心伝心で私がイライラしていることだけが
彼に伝わっている。



今、電話がかかってきた。
歯車はやっぱり噛み合わず、
伝えたいことの1%も伝えられなかった。


「私のこと嫌いになる?」
「ならないよ。」
「嫌いにならなくても、好きじゃなくなるかもしれない?」
「うーん、そうはならないと思う。」

・・・「そうはならないと思う」


「そこは大切なところなのに。」
「まぁ、細かいことは気にするな。」
「気にするよ。もう好きじゃないのかと思ったし。」
「そんなことあるわけないし。電話だってしてるでしょ。」


結局、噛み合わないままオヤスミを言って電話を切った。




「どんなことがあっても姫ちゃんを愛し続けるよ。
どんな姫ちゃんだって全部受け入れるよ。」
ずっと前にそう言ったNちゃんを思い出して髪を乾かしながら泣いた。

Nちゃんと交わしたメールは既に何千通にもなる。
おはようからオヤスミまで、多い時には一日に50通。

送信メールは残していないけれど、
彼からの受信メールは全て保存している。
そんなメールを、今日、少し読み返してみた。

まだ付き合って日が浅いころのメールには、
Nちゃんの気持ちがストレートに表現されている。

「どんなオトコが姫ちゃんに言い寄ってきても、
姫ちゃんを振り向かせないように、いっぱい愛するから。」

「世界中でオレより姫ちゃんを好きなオトコはいないから。
それだけは絶対変わらない。」

「どんなことがあっても姫ちゃんの手を離さない。
ほかのオトコには絶対に渡さない。」

「姫ちゃんと一緒に暮らしたら楽しいだろうな。
いつか一緒になりたいね。」

「そしたら、姫ちゃん、姫ちゃんって、どこにでもついていく。」

「オレの中では心の奥さんだと思ってる。
かけがえのないパートナーだよ。」

「そばにいて姫ちゃんを守っていたい。」


ホントか?と思えるような言葉が並ぶ。
誰にでもそういうことを言いそうな軽いタイプの人ではないし、
甘い言葉を発するだけの人でもない。
どちらかというと、硬派で不器用な人だと思っている。


だから、こういうことを言われると、
彼の真意が余計に読めなくなる。
彼の気持ちがどうしても測れない。

ウソではないだろうと思う。

いや、、、これが全部ホントだったら、、、、
どんなに幸せだろうか。


今朝、何通ものメールを読み返しながら、
胸が熱くなった。


そして同時に、
夢なら覚めないように、と思った。

初めて恋をしたのはいつのことだったろう。
幼馴染みの男の子に淡い恋心を抱いて追い掛け回したのが
恋だとすれば、あれは幼稚園の頃か。

小学校、中学校と人並みに恋をした。
彼氏と呼べる存在が出来たのは、高校に入ってからだ。
それは恋愛というより、恋愛ごっこのようで、
どうにもしっくりこず、燃え上がりもせず、ごく短期間で
関係は解消された。

思い返すと、私の恋愛の原点は大学の時だ。
大学に入ってすぐ、私は恋に落ちた。
彼は付属上がりのやんちゃな男の子で、
私は世界が急に広がった女子高上がりの女の子だった。

彼は小学4年生の時のクラスメイトで、私は2学期に入る頃に
転校したので、それ以来の再会だった。
偶然か、運命か、彼とは引き寄せられるように惹かれ合った。

こんなに愛し合っている二人がいるだろうか・・・
そう思えるくらいに彼とは濃く、深く恋愛した。
未熟ながらも、このとき、恋することの喜びや切なさや苦しさを知った。
それほどまでに彼も私もお互いを貪るように情を交わした。

大学を卒業して、私は新しい世界を知り、彼にサヨナラをした。
「何がいけないのか?ダメなところは直すから。」
すがりつくように彼は泣き、私はただただ拒絶した。

人の気持ちって変わるんだ・・・
自分の気持ちさえ変わるのに、他人の気持ちなんて何の保証もないことを
このとき、強く思った。

それから、私はいくつの恋をしただろう。
今の夫に対しても、かつては恋をしていた。


いくつもの恋をして、私は何を得たのか。
何を学習したのか。
新しい恋をするたび、何の成長もしていない自分と向き合い、
イライラしているのは相手のせいではない、
自分自身のせいだと気が付いて、またため息が出る。


Nちゃんからの他愛ないメールに
「私はNちゃんに必要な存在ですか?
私は「隙間」にしか居られないんだなと思った。」
と、返した。

しばらくして届いたメールには
「隙間と言うなら・・・オレだって、姫ちゃんの隙間にしか居られないんだよ。」
と返ってきた。

その後、数通のメールのやり取りをしたが、
彼には珍しく絵文字が一切ない簡潔な短文だった。

私はそもそもほとんど絵文字は送らないが。
彼はいつも絵文字がいっぱいだ。
だから、絵文字がないことは、彼が意気消沈していることを表す。

「姫ちゃん❤一緒に寝よう。」のメールに
私はただ一言「おやすみ」と、句読点もなしの4文字を送ったら、
「おやすみなさい・・・」と・・・が付いて返ってきた。


・・・は何を意味するのか。

それっきり何もないので
「Nちゃん・・・こんなんじゃあフォローが足りなさすぎ。
もういいけど。ゆっくり休んで。おやすみなさい。」
と、送ったけれど、

眠っちゃったのか、思うところがあるのか、
返信はなかった。


こういうところが、嫌いだ。
もう疲れちゃったよ。



と、思うが、
やっぱり、諦めるにはあまりに惜しい。
Nちゃんは私にとって、あまりにも素敵だから。

そんな気持ちと闘いながら、今日は眠ろう。

せっかくの情事は、また今度思い出すことにして。
少し前のこと。
お風呂上りにNちゃんからメールが来たので
「今、ダカハー」と返したら、「見たい、見たい」と言うので、
バスタオルで大部分を隠した写メを送った。

「ありがとう❤・・・でも、姫ちゃん、タオルが邪魔(>_<)」

そんなやり取りの数日後、気分の良かった私は
素っ裸でベッドに座り、脚を開き気味にした写メを送った。

「姫ちゃん❤もっと脚を開けば良かったのに❤」


そんなことがあって、今日のこと。
「姫ちゃん、写真撮っていい?いっぱい撮りたい。」

そうして、ラブホに着くなり、私を撮った。
Nちゃんのリクエストに応えて、久しぶりにスカートをはいた私。
着衣のまま、立ち姿。座り姿。

服を脱ぐと下着姿も撮った。


撮影のことを忘れて、交わることしばし。
攻守を交代して、仰向けに寝る彼のものを口に含んでいると
彼はスマホを向けている。

「気持ちいいよ・・・」そう言いながら、彼はずっと手にスマホを持ったままなので
「何してるの?」と、聞いたら「動画を撮ってるの。」と。

Nちゃんは、私が彼自身を咥えている姿を撮りながら、
あぁ・・・と声を漏らした。
今日の彼はいやに硬い。いつにも増してカチカチだった。
画面を通したこの姿態に興奮しているのだろうか。


ようやくスマホを置いて、交わりに集中したかと思ったら、
今度は私を上に乗せ、再びスマホを手に撮った。
上に乗る私を撮りながら話し掛ける。
「気持ちいい?」と

「Nちゃんは?」息も絶え絶えに私が言うと、
「気持ちいいね。当たってるね。」と、涼しい顔で答えた。

上に乗り、下になり、
「Nちゃんはどれが気持ちいい?」と、私が尋ねると

「うーん、オレは・・・」と、言いながら私の体をクルリと回転させ、
「姫ちゃんがこうやってお尻を高くして・・・こうやってする・・・」
と言いながら、、後ろから激しく突き上げた。

お尻を高くしながら、腰を沈め、胸をシーツにつけるように腕を伸ばすと
さらに深く快感がやってくる。

そこで、パシャパシャとシャッターの連写音がした。



Nちゃんは今日の写真を、動画を見るのだろうか。
「姫ちゃん、今日は泣かせてしまってゴメンなさい・・・」

Nちゃんは何を思って「ゴメンなさい」と言うのか。
あの困った表情に、私は何を思えばいいのか。


Nちゃんは私を好きだと言うけれど、
それは私にはどうにも測れないから。
Nちゃんに対して、私はやっぱり不信感でいっぱいだ。

「姫ちゃん、オレは姫ちゃんが好きなんだよ。分かってる?」

「分からない。」

「何でだよ。」
「さ、姫ちゃん、シャワー浴びよう。行動開始だ。」
情事が終わって、Nちゃんが言った。

「いや。」

「いやじゃないの。車屋さんに行かなきゃいけないんだ。」

「いや。」
私は彼の動きを制するように覆いかぶさった。
下敷きになったNちゃんは腹筋を使って体を起こそうとする。

仕方がなく負ぶわれてバスルームに行き、
彼は無言で私の体を洗い流した。

服を着てソファに座るNちゃん。
困ったなという表情を浮かべている。

「「仕方がないでしょ」って言いたいんだったら言えばいいのに。」
私がそう言うと、

「そんなことないよ。」

「顔がそう言ってる。」

「そんなこと言っても、姫ちゃんは「分かってる」って言うでしょ。」
冷静なまま彼が言うので、涙があふれた。

「姫ちゃん、泣かないの。」
Nちゃんは動じず、たじろがず、タオルを当てて私の涙を拭く。
「目が腫れちゃうよ。鼻が赤くなっちゃうよ。」

そして、彼はこう続けた。
「時間が短い分、質を高くすればいいんじゃないかな。」

Nちゃんの言う「質の高さ」が何なのか分からない。
尋ねれば良かった。
質が高いって、どういうことだろう。

今日は、待ち合わせ時間が約束よりも遅くなった。
理由は分からない。
で、帰り時間も、結局彼が決める。
何もかもが「仕方ないでしょ」と、表情で語る。

私のために作ってくれる時間なんて、せいぜい3、4時間が精一杯なのだ。

短い時間でも私との時間を作ってくれているのは有り難い。
でも、、、いつもいつも。

帰りの車の中は無言で、Nちゃんは私を覗き込むように
遠慮がちに手を触った。
「姫ちゃん?」

「なぁに?」

「嫌いになる?」

「ならないよ・・・
嫌いにならないし、大好きだよ。・・・でもな、って思う。」

「そっか・・・」

「Nちゃんは?」

「オレは好きだよ。けど、「でもな」とはならない。」

私は彼を見ることができず、窓の外を見た。
車はいつもの駐車場に到着した。

Nちゃんはハンドブレーキを引いてシートベルトを外すと、
私に乾いたキスをした。
私の心の中に入ってくるのを躊躇っているんだろう。
その躊躇いが表情から読み取れた。
それが嫌で、私は口を開いた。
「Nちゃんは私ともっと一緒に居たくないの?」

「居たいよ。ずっと姫ちゃんとくっついていたいよ。」

「けど、、、「時間がないんだからしょうがないでしょ」って言いたいんでしょ。」

「そんなこと言ってないでしょ。できることは何でもするよ。」


そう、彼はいつもそう言う。
『できることは何でもする』と。

つまり、できないことがどれだけあっても、それは仕方がないこと。
私がやってほしいことのうち、彼ができることは何%なんだろう。
何ができて、何ができないんだろう。

何を努力してくれて、何は努力してくれないんだろう。
何が無理じゃなくて、何が無理なんだろう。

私は彼が何としても私の求めに応えようと思える価値もないのか。
そう思えて、また涙がこぼれた。

私はNちゃんの「隙間」にしか居られないのか。


困った顔で私を見るNちゃんに耐え切れず、
「じゃあね」と言って車を降りた。
1月のこと。

夕方そう遅くない時間に
「今夜何時に帰りますか?」とNちゃんからメールが届いた。

すでに仕事を終え、帰宅途中であることを伝えると、
「今夜逢えますか?」のメール。

いったん帰宅して夕食の支度をし、再び家を出て待ち合わせ場所に向かう。

午後7時半、コーヒーショップの駐車場には
すでにNちゃんの青いゴルフが。

私の車を見た彼は、車から降り、近づいてきた。
「姫ちゃん、お疲れさま。」

差し伸べられた手を取ってお店に向かって歩き出そうとしたら、
Nちゃんが言った。
「姫ちゃん、コーヒー飲みたい?」
「いや、別に・・・」
「車に居よう。」

そして、彼の車の助手席に座ると、
彼は待ちきれなかったというふうに私をハグし、
濃厚なキスをした。

どうしたんだろ・・・そう思っていると、なおも舌をからませてくるNちゃん。
胸元から、そしてスカートの中に手を滑り込ませてくる。
タイツの中に入った手は、さらにショーツを越えて奥まで侵入する。

私も硬くなったNちゃんを触った。

彼の指は私の中に入り、ゆっくりと動く。
・・・ここはコーヒーショップの駐車場。

彼は濡れた指を自分で舐めてから、ティッシュで拭いた。

「もう・・・汚いから・・・」

「汚くないよ・・・姫ちゃん、したくない?」

「したいよ。」

「じゃあ、しよっか。」

そして私の車を置いたまま、コーヒーショップの駐車場を出た。
向かったのは、車で5分ほど離れた場所。
住宅街の脇にラブホが林立している。

細い路地のような道を抜け、車をとめて中に入った。
(ここは何年も前に、ひろと何度も来た場所だった。)


交わったあと、Nちゃんはいつも私を肩に抱き、静かに目を閉じる。
けれども、この日は違った。
Nちゃんが私の胸に頭を置いてきたので、彼の頭を抱くように腕を回す。

Nちゃんの頭の重みを感じ、しばし時間を忘れた。


この日、彼がどういうつもりで待ち合わせ場所にやってきたのか、
最初から私を抱くつもりだったのか、急にそういうつもりになったのか、
わからないけれど・・・

思いがけず満ち足りた金曜日の夜だった。
Nちゃんとの交わりはとても静かだ。
ゆっくりゆっくりと時間をかける。

性急にコトを進めるということもないし、
自分本位で激しく求めてくるということもない。
・・・それが、少し物足りなくもあるけれど、
彼はそれで満足しているらしい。何度も確かめてはみたが。

私を指で舌で愛撫している彼に目をやると、
穏やかな目を私に向けて、けれども冷静に私を観察している。
「姫ちゃん、気持ちいい?どうして欲しい?」
そう言葉を掛けながら、私をさらに愛撫する。

「イク時は、ちゃんと大きな声で言わなきゃダメだよ。」

快楽に身を任せつつ、私はNちゃんの顔を見つめる。
私を気持ちよくさせることに集中している彼の真剣な顔を。

その顔が私は好きだ。

そう思って愛撫されていると、私はたまらなくなっていく。
脚を突っ張り、引き寄せて、ただ快楽のことだけを考える。

するとNちゃんは、硬直するように結んだ私の足の指を
ゆっくりゆっくり丁寧に、そして優しく解いていく。
何も言わずに、じっと私の目を見つめて、静かに解く。


私がNちゃんのものを口に含む。
ゆっくりと転がしながら、チラリと彼に目をやると
意識を集中させるように目を瞑っている。
達観しているかのように、穏やかな表情だ。

そして、時々、「あぁ・・・」と声にならない声が漏れる。

その声が私は好きだ。

今日のこと。

午前中、仕事で郊外に打ち合わせに出かけた。
お昼前に打ち合わせを終え、会社へ戻るべく車を走らせた。
今日は春の陽気で暖かく、車内はエアコンをつけなきゃいけないほど。
ボーっとしてしていたのだろう、、、
途中、曲がるべき道を曲がらず、
あるいは直進すべき道を曲がってしまったのか、
気付けばまるで知らない道を走っていた。

目の前には延々と続く広大な敷地が広がる。

そうか、ここは、、、

そう、ここはNちゃんが勤務する場所だ。
Nちゃんに吸い寄せられるようにたどり着いてしまった。

ナビで確認すると、どうやら一本離れた道を走っている。
しばらく、Nちゃんのことを思いながら敷地周囲を走ってから、
本来の道に戻った。




今、宴会の帰り道だという彼から電話があったので、
そのことを話してみた。

「ボーっとしてたらダメでしょ。危ないよ、姫ちゃん。」

「うん。どうして間違えちゃったのか分かんないんだけどね。
きっとNちゃんの匂いに吸い寄せられたんだと思うよ。」

「そっかぁ。電話してくれれば良かったのに。」



まぁ、電話したところで出ることができるかどうかは分かんないし、
まして、会えるってこともないだろうし、、、

でも、あぁ、Nちゃんはこの中のどこかに居るんだな、、、と
ちょっぴり想いを馳せることができたひと時だった。


「もうお家についたから。」
と、Nちゃんが言って電話を切ったが、ほんの10分、
今日も彼の声を聞くことができた。
今日は遠方に出張し、帰りが遅くなった。
帰宅して、
「お風呂に入ってくるね」と、メールをすると
「ゆっくり温まるんだよ」とNちゃんからの返信。


初めてNちゃんと私的に会った日のことを思い出した。
帰り道、別れて10分もしないうちにメールが届いた。
「気をつけて帰るんだよ。」と。

「気をつけて帰ってね」ではなく「気をつけて帰るんだよ」
という言葉に温かで穏やかな優しさを感じて、心が満たされた。

時々、Nちゃんは私を慈しむような目で見る。
そして、子供に言うように言葉を選ぶ。
その時の目が、声が、口調が、私は大好きだ。

時々、私が乱暴な言葉遣いをすると
「姫ちゃん、そんな言葉遣いをしちゃダメでしょ。
オレはいいけど、誰かが聞いたら笑われちゃうよ。」
と、私を諫める。

子供扱いするように、ゆっくりと穏やかな口調で。

「もういい!」と、私が拗ねると、
「姫ちゃん、ダメでしょ。投げやりになっちゃ。」
と、静かに笑みをたたえながら私を諭す。

こんなにも優しく穏やかな居場所を
彼は私に与えてくれる。
そんな彼が私は好きだ。
昨日、Nちゃんと枝垂れ梅を見に行った。
満開の梅はとても綺麗で、歩いてきた道を振り返ると
後ろには白ピンクの靄がかかったような光景が広がっていた。

梅園を出ると神社があり、本殿へと長い石段を上った。

拝殿でお参りをし、恒例のおみくじを引いた。
お互いに開いて見せっこすると、
「よし、勝った!姫ちゃん、ドンマイ。」
と、彼。

「何で??」
私は大吉、Nちゃんは小吉だ。

「オレはこれから上り調子だけど、姫ちゃんは落ちてくだけだから。」

意地悪を言うNちゃんのおみくじをみると
恋愛のところに「恋敵に注意せよ」と書いてあった。

「ほら、恋敵だって~」

「ムムム・・・ヤバいな。」



金曜日にひろに遭遇したことを実はNちゃんに話した。
加えて、少し前に、20代のころ付き合っていた人から
Facebookの友達申請が来たことも話していたんだった。
そのことに対して、Nちゃんは
「元カレとの接触が多いですな、、、(ーー;)」
とメールをしてきていたのだ。

接触したわけじゃないのに、、、と返すと、
「ゴメン、ゴメン、ヤキモチ妬きました。」と彼。



そんなことがあったから、余計にタイムリーなおみくじだった。


その夜、
「オレは世界一姫ちゃんが好きだし、
どんなオトコにも負けない。誰にも渡さないから。」
と、Nちゃんからメールが届いた。
Nちゃんはとても子煩悩な父親だ。
私にも二人の息子がいるが、私は子煩悩とは言い難い。
息子たちは私にとって、かけがえのない存在には違いないけれども、
私はほとんど常に自分のことを優先する。

Nちゃんと付き合い始めたころのこと。
天気の良い朝、彼とドライブできたらどんなに素敵だろうと思っていると、
「今日は子供たちと○○へ出掛けるんだ。」とメールが届いた。
海へドライブするという。

やりきれなくて、私はつい
「Nちゃんは満たされている人。満たされている人は
外に求めちゃいけないんだよ。マイホームパパは嫌い。」
とメールを返した。

Nちゃんは子供の部活の送り迎えをし、連れ立って買い物に出かける。
私が息子たちにはほとんどやらないことを彼はする。
良きパパなんだ、彼は。

そんなことを私はとにかく苦々しく思う。
マイホームパパである一方、私に毎日「愛してる」と言い、
ラブホに行けば私を抱く。


そんなのマイホームパパなわけがない。


彼の家庭の一端を知るたびに、
どうしようもない感情が私に充満する。
先日、Nちゃんに手紙を渡した。

バレンタインデーのチョコに添えたカードに書かれた言葉を
ことのほか喜んでくれた彼。
(何を書いたかあんまり覚えていないのだけれど。(^_^;))

たびたびズレを感じる彼との関係に
「今度、お手紙書くよ。」と言っていたのを、
彼はずっと待ってくれていたようだ。

「姫ちゃん、お手紙書いてくれるって言ったから。
前にもらったカード嬉しかったからさ、楽しみなんだ。」
一週間ほど前にそう言われて、その電話を切った直後に
心を込めて書き上げた。

便箋に5枚ほど。

私がNちゃんに対して感じていること、
こうして欲しい、こうしないで欲しいというお願いを綴った。

書いた翌々日、渡した手紙を彼はその場で読もうとしたので、
「こういうのは、目の前で読むものじゃないでしょ。」
と、気恥ずかしさから言った私。

その夜「もったいなくて、なかなか読めない」と言ったNちゃん。

しばらくして、「嬉しかったよ。姫ちゃんの気持ちがよく分かりました。
何度も読み返すね。」と、優しいメールが届いた。

私なりにいろいろな要望を7割ぐらいは伝えたと思う。

その一つに「できるだけ電話をかけてきて欲しい」ということもあった。
だから、今はNちゃんなりに、私の気持ちを酌んでくれている。
オヤスミを言うだけの短い電話もあれば、私の話を聞いてくれるだけの
長い電話もあって、彼の思いに頭が下がる。

Nちゃんが折に触れ、あの手紙を読み返してくれると嬉しい。
今日はホワイトデー。
あのドタバタバレンタインから一か月が過ぎたのか。

昨日の夜、Nちゃんから電話がかかってきて(ほぼ毎日電話がある)
「明日昼からデートしよう」と言われていた。


午後1時過ぎ、いつもの場所で彼の車に乗り込むと、
「はい、これ。ホワイトデー。」
と、小さなギフトバッグを渡された。

アクセサリーだ。

ホワイトゴールドにルビーのネックレスだった。

「私の誕生石って知ってた?ひょっとして。」

「もちろん。だからルビーにしたんだよ。」

「ありがとう。すごく嬉しいよ。」

「高級品じゃないけど、心を込めて贈ります。」


リンツのチョコレートがルビーのネックレスになって返ってきた。

私の首にはティファニーのダイヤのネックレスがかかっている。
ひろからもらった誕生日プレゼントだ。


いろいろなことを思い出しながら、さっきそれを付け替えた。


ひろにもらった時には、嬉しくて首元に手をやりながら
ひろに愛されていることを実感した。


同じことを今、別のネックレスでやってみた。
ここのところ仕事に追われて、更新できなかったのだけれど。

数日前に、ふと思ったことがある。
夏にひろとお別れして半年が過ぎた。
この半年、ひろと偶然に会うことも、また、
見かけることもなく、
「そもそも、交わることがなかったんだな・・・」
と、妙に感慨深く思った。

以前は毎日のようにひろと歩いた、駅前の道、
地下道、スクランブル交差点を、今は一人で歩く。

そんなことを書こうと思っていたら、、、、、、
昨日、ひろと遭遇した。

仕事の仲間とオフィスのあるビルを出て、ランチに向かう途中のこと。
視界に、不自然な動きをする男性の姿があった。
急に向きを変え、後ろから大きく回り込むように前に出て
走り去っていく男性。

不自然な動きについ目が移り、そして、何となく
「ひろに似ているな、、、」と思った。
そして、その姿がもっと遠くに離れたら、
もう少し観察をしようかと、目で追ったその瞬間。
地下に降りるエスカレーターに乗ったその男性は
クルリとこちらに振り返り、私と視線がぶつかった。

ひろだった。

微笑みながら小さく手を振っている。

私は一瞬、目を大きく見開いたと思う。
時間にしてほんの2秒ほど。
私はマスクをしていたので口元に無理に作った
笑みはひろには伝わらなかったろう。

私は立ち止まらなかったし、ひろもエスカレーターで下っていったので、
それっきり何もなかったけれど、
私は何とも言えない感覚に動揺した。

話しかけてくる部下に対して、ほとんどうわの空だったろう。


ただ、それだけだけれど。
私が念じたからなのか。

とにかく、昨日、ひろを半年ぶりに見た。
Nちゃんと付き合って数か月。
最初の頃は、それはそれはNちゃんの猛攻があった。
「愛してる。」、「大好き。」「ギューしたい。」辟易とするくらいメールが届き、
私は、いちいち返事をしないことも多かった。

私の気持ちが自分に向いていることをNちゃんは確信したのだろう。
そのうち、最初のような猛攻はなくなった。

そのことで、わたしの気持ちは余計にNちゃんに傾いていった。

きっと、彼は変わりなく私を好いてくれているのだろうが、
私の度合いと彼の度合いに差がなくなったことで、
それが私にはどうも、癪に障るような気がする。

私が何故だかこんなにもイライラする理由は、
きっとそれだ。

自分勝手極まりないが、
私の好きを遥かに上回っていてくれないと、嫌なのだ。


けれども、Nちゃんにそんなことは望めるはずもなく、
相も変わらず彼は穏やかに、静かに、愛情表現をする。
決して物足りないわけではないのだけれど、
心許なくて、私を不安にさせる。

私は、十分に愛されているのだろうか。
Nちゃんと私は、やっぱりどうもズレている。
時々、話がかみ合わないし、話が通じない。

そのたびに、
やっぱりダメかな、、、と、思うのだけれど、

Nちゃんの穏やかで遠慮がちな話し方、
内に秘めたような自信、優しい目、
いつも同じ態度、静かな強さと逞しさ、
少し単純なところ、正義感が強く、男らしさにあふれたところ、

そういうNちゃんのことを改めて考えると、
それを手離すにはあまりにも惜しいと思う。

そう思うと、私にはNちゃんを引き止めるだけの
魅力なんてどこにもないな、と思う。

毎日、毎日、「愛してる。大好きだよ。」と
言ってくれるけれど、どこか虚しく聞こえるのは、気のせいか。


なんで、こんなにも好きになってしまったんだろう。
こんなはずじゃなかったのに。
さっきの記事を書いた後、
数通のメールのやり取りをした。
「寒いね」という私に

「オレが暖めてあげる。」と返してきたので、
「今~」と送ると、
「笑顔の顔文字」で返してきやがった。

だから「有言不実行」
と、送り返すと、

またまたけたたましく携帯が鳴った。
充電中の携帯は床の上で暴れる。

「どしたの?ヤバい、アクション起こさなきゃ的な?」

「そんなことないよ。」

「ご機嫌損ねちゃマズい的な?」

「全然、、、」


そうして、一時間ほどお話して
今、電話を切った。
ほとんど私が話しただけだけれど。
Nちゃんからここのところ毎日、電話がかかってくる。

どうした?
なんでだ?

それまで、電話をもらったことなんて数えるくらいしかなかった。
会えなくて私がグズグズ言っていると、しょうがないな的に、
あるいは、ここで何かアクション起こさないとマズいかな的に、
メールのやり取りの途中で「電話してもいい?」と確認してくる。

私からかけたことは一度もない。
付き合い始めたころに、一度だけ
「今、電話していい?」と、メールを送ると
「今、娘が近くに居るんだ。」と、困った表情の顔文字と共に
返ってきて以来、二度と私からアクションを起こすものかと、
心に決めている。


先週の日曜日のこと。
お昼過ぎのメールを最後に、彼からのメールはぷつりと途切れ、
次にメールが来たのはすっかり夜のことだった。
「姫ちゃん❤姫ちゃん❤」というのんきなメールが
頭にきて、
「こんなふうに放っておかれるのが、嫌。
もう構わないで。」と、返した。

Nちゃんは焦ったのか、ゴメンゴメンと返してきたけれども
私の気持ちは収まらず、結局、その夜は怒ったままメールを終えた。

翌朝、彼からは絵文字がいっぱいの「おはよう、愛してる」のメール。
私は「構わなくていいですから。」と返した。

「姫ちゃん・・・ご機嫌直してください。」
と、すぐに返ってきたけれど、私は冷たくあしらった。

その夜のこと、
取りあえず、ご機嫌を直すことに決めた私。
数十通のメールのやり取りの最後に「おやすみ」を交わすと、
すぐに電話が鳴った。

「おやすみ、姫ちゃん、、、、声が聞きたくて、、、」

それ以来、とにかく毎日電話がかかってくる。
「おやすみ」メールを交わした直後だったり、
あるいは仕事を終えて「今から帰るね」メールの直後だったり、


今日は仕事で遅くなって慌ててスーパーで半額のお弁当を
買って帰る途中で電話が鳴った。

Nちゃんは珍しくすぐに電話を切ろうとしないので、
結局、帰宅した後も、子供たちにスーパーの袋を差し出して
アイコンタクトだけして電話を続けた。


うーん、どうしたNちゃん?
どういう風の吹き回しだ?


けど、1時間ほどの電話中
喋ったのはほとんど私。
「Nちゃん、何かお話してよ。」

「うーん、今日はネタがない。」

「もうー」

「オレ、口下手だから。」

じゃあ、何で電話してくる??
「私のどこが好きなの?」と、聞くと、

Nちゃんは
「綺麗だし、可愛いし、頭いいし、それに
仕事をしている姫ちゃんもカッコイイから。」
と、答えた。

そういえば、年末、Nちゃんは私の仕事場に来たのだ。

「ね、ね、姫ちゃんの仕事場に行ってもいい?」

「どうして?」

「どんなふうに仕事してるのか見てみたい。」

私の仕事はどちらかというとパブリックな側面があり
様々な人と関わる。
仕事場は、関係者しか無論来はしないが、
「見たい、見たい。」というNちゃんに負けて、
つい、「いいけど、、、」と言ってしまった。

年末、私より一週間も仕事納めが早かった彼は、
その日お休みで、私はスタッフに
「今日、知人が見学に来ます。
お邪魔はしませんので、どうぞご承知おきを。」
と話し、彼には比較的私が自由になる時間帯を伝えておいた。

約束の時間ピッタリに現れたNちゃんは
スタッフ分の差し入れを持って来てくれて、皆に挨拶をした。

彼が、私の仕事姿を見たのはほんの30分ほど。
どんなふうに見ていたのかは分からない。
それに、大したこともしていない。
彼に「カッコイイ」と、表現するようなことは何もしていない。
そう思われるような所を見せられれば良かったのだけれど。
残念ながら、そううまくタイミングは訪れなかった。


ただ、そんな姿はかつてどんな恋人にも見せたことはなかったし、
「見たい」とも、懇願されなかったので、新鮮でもあった。


まぁ、相当大胆だけど・・・

見学が終わって、私の仕事の小休止の間に、
彼を駐車場まで見送った。

オフィスのビルを出たところで、Nちゃんは私の腰に手を回したので
「さすがにダメだって、それは。」と制した。