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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

昨日、そして今日もひろからの連絡はない。


数時間単位で気持ちがうつろい、ゆらめいている。
自問自答し、やっぱり、とため息をつき、
ひろからの電話があったらどう対応しようか考えたり、
ふと携帯を手に取って、連絡をしようという衝動に駆られている。

嫌なことが思い出されて、成るようになったんだと納得しても、
またすぐ次の瞬間、ひろとの未来を思う。

頭の中で、しおらしい自分を妄想する。
「ひろと離れるなんて考えられない。」

でも、その一方で、きっぱりとした自分も想定する。
「センチメンタルになっちゃだめ。もっと見据えて。」


うつろい、さまよい、私はどこに向かうのだろう。
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今日、長年お世話になっているボスと久しぶりに会った。
二か月ぶりのことだ。

数日前に、
「そちらに出張するので、水曜日の午後四時ごろ時間は取れますか」と
メールが届いていた。


ボスと会う時はいつもそうだが、仕事の話、
子供たちの話、そして姫自身の話をして、
ボスなりの意見を聞かせてくれる。

「立ち入ったことだけれど、、、例の彼とはどうなの?」
そう問われた。

「えぇ、まぁ、、、うーん、、、」
そうお茶を濁していると、

「これから彼と一緒に暮らしていけるんじゃないの?」
と言われたので、

「どうでしょうか、、、うーん、それは難しいと思います。
今、ちょうど岐路に立っているというか、、、」
そして、簡単にこれからどうしようと思っているか伝えた。

「まずは物理的に依存していてはだめだと思うんです。
私も依存心が高まるし、相手も何というか、
依存させてやってる、ってやっぱり思っていると思います。
それが嫌なんです。だから、まずは住む場所を探そうと。」


ボスにそう話したのは、姫の覚悟のような気もする。
前に進むために、そういう状況を作り出さなくてはという
焦燥感が募っているのだと思う。

ボスが言っていた。
「容易な道と困難な道があれば、困難な道を選べ、って言うよね。」

姫にとって、ひろとこのまま居続けることは、甘えでしかない。
そんな気がする。


「物理的な依存をなくして、それでも、ご縁があれば
その先はあると思うんですよね、、、」
自分に言い聞かせるように、ボスに告げた。




なんて、ね。
ひろから何の連絡もない。

昨夜、「反省するよ」とひろは言った。
こうも言った・・・
「同じ女性から二度も振られたのは初めてだ。」

一度目はいつを指すのか、正直ピンとこなかった。
しかも「振られた」?

「もう別れよう、まじに。」と言ったのは、ひろのほうだ。
姫はその言葉を受けて
「ひろの好きにしたらいい。」としか言ってない。

よく分かんないよ、、、


今日仕事帰りにネイルサロンに行った。
その帰り道、ひろと初めて出会った場所を通った。

この場所で、ひろと初めて出会ったんだ。
今でもはっきりと覚えている。

もう10年以上も前のことなのに。


今、どうしようか、どうしたいのか、どうなるのか
考えるでもなく、一日中ずっと考えている。
少し前に、ひろから電話があった。

「悲しい思いをさせてしまってゴメン・・・僕、叱られるとダメなんだ。」
姫が無言でいるからか、ひろは一方的に話した。

叱られるとダメ、、、
確かに、今日、姫はひろを注意した。
「また同じ服を着てる。今度同じ服着たら、一着ずつ服捨てるよ。」
面倒だからなのか、ひろは毎日同じ服を着る。
放っておくと一週間同じ服を着続けていることもある。
ひろによると、「毎日洗濯している」のだと言う。
引っ張り出すのが面倒だから、洗濯から上がった服をまた着る。

「でもさ、人が見たら、あの人毎日同じ服着てる、って思うよ。
だらしないって思うし、清潔感もない。そんな人がやってるお店に行きたいと思う?」
そんなことを、これまでもたびたび口にして、ひろを注意した。

今日で何度目の注意だっただろうか。

ひろのご機嫌スイッチがパチンと切れた。

全然脈絡のない反論をされ、挙句に
「これは根本の話だから、もう別れよう、まじに。」

相当、ひろのご機嫌が悪かったのだと思う。

でも、ひろの反論を静かに聞いていて、つくづく思った。
駄目だな、この人。何もわかってない。




新しい賃貸の物件を探すため、タブレットに釘付けになっているところへ、
ひろから電話が入った。

姫から言うことは何にもなかった。言いたいこともなかった。
ひろの一方的な言葉を聞きながら、
「そうじゃないんだよ、ちがうんだよ。」と心の中でつぶやいた。



この電話に姫が普通に対応して、「ご飯食べに行こう。」って
言ったら、きっと、うれしそうにひろは「行くか、行くか」と答えるだろう。
でも、言わなかった。言えなかった。

電話を切ったが、またかけなおして「一緒に寝よう」と言えば、
ひろはきっと喜んでくるだろう。

今、そんな選択権をにぎっているのは、姫のほうだ。
姫次第で、どうにでもなるような気がする。

ちょっと折れて、しおらしくして、打算的に付き合いを継続すれば
姫はまぁ、寂しくないし、ひろの庇護もえられる。

これまでと同じ関係をひろと続けるか?
否、それはもう疲れたよ。


ひろは姫からの言葉を待っている。
「一緒にいてよ」の言葉を待っている。
この言葉を発したら、ひろはたちまち「うん」というだろう。

でも、そうしたら、また永遠に続く。
不毛な混沌とした偽愛の世界が。
ここ数か月、ひろから何度言われただろう。

そのたびに、心を尽くして、姫の気持ちを伝えて
今日まで来たけれど、、、

もう限界。


始まりがあれば、必ず終りが来るのだ。


「もう別れよう、マジに。」


今日、そう言われた時は、もう悲しくもなかった。
むしろ、ホッとしたような気がする。

ひろがそう思ったんだから、仕方がない。

「したいようにすればいいよ。」
顔を見ずに、背を向けてそう答えた。


涙は出たけれど、悲しくなはい。
仕方ないことだもの。

後悔はないし、やり直せるならこうしたかった、という思いもない。
後戻りはしたくない。


『今までありがとう。お部屋は今月中に出ていきます。
片付けたらまた連絡します。』
と、メールを送った。


返事はないが。
病気のせいなのか、疲労のせいなのか
それとも年齢的なものなのか
ひろの性欲は著しく低下している。

元々、淡白なほうだった。
それでも、姫に会うと、そのたびひろは欲情してくれた。
手術後もしばらくすると、それまでと変わらない頻度でセックスした。

それが、ここ半年くらいだろうか・・・

会えば必ず、というのはなくなった。
朝まで一緒に眠っても、姫はただの添い寝マシーンだけだったこともある。

「食欲と睡眠欲が増した分、性欲がなくなったんだね。」
ひろにそう抗議すると、
「そんなことないよ、いつも君を抱きたいなって思ってるよ。」
ひろは、そう答えるけれど、
結局、姫の隣でスースーと寝息を立てて眠ってしまう。

悲しくて、切なくて、寂しくて
お店に帰ったひろにメールした。

"姫はひろのお母さんじゃないし、添い寝マシーンじゃないし、介護士でも
ありません。生身の女です。ひろに抱きしめられたいし、求められたいし、
愛されていると心と体で感じたい。
時間がないから、忙しいから、疲れているから、、、
そうじゃなくて、ひろが姫に対して、そういう感覚を
失っていることに寂しさを感じます、、、、"

君を悲しませてしまったね、ごめん。
ひろからそう返信があった。

それからひろが変わったかというと、、、
よく分からない。

姫に対して、興味を失ったのか、
それとも、いつでもできるから、そう思わなくなったのか。
今、姫はお部屋に一人住んでいる状態なので、
週の半分はひろが姫のもとに通ってくる。
通うというより、ただ眠りに来る。

・・・タイトルの樹脂から話が逸れてしまった。
つい欲求不満が噴出したようだ。

そうそう、今日は、昼前にひろと会ったのだ。
昼食を近くのデニーズで済ませて、二人で部屋に帰った。

ジーンズを脱ぎ、下着だけになったひろは布団にもぐり、こう言った。
「ワンツーで寝よう。」

「いやだね」
姫がそう言うと、珍しくひろが抱きついてきた。
硬いものが当たる。

「どうしたの?硬いよ。」

「お薬飲んでないよ!」
ひろはそう言いながら、パンツを脱ぎ捨てた。

正常位、座位、そして正常位で、ひろはそのまま果てた。
姫の中で果てるのも、すごく久しぶりのことだった。

コンディションが良かったのだろう。

そのままバスルームに行き、シャワーを浴びながら
「もう一回する?」
と聞くと
「だめ。回復するのに、2日くらいかかる。」

「え?2日?そんなに?」

「樹脂製だから、固まるのにそのくらいかかるんだよ。」
ひろはそう言いながら、恥ずかしそうに自分の手で隠した。


おしまい。
昨日の夜、ひろのお店に行った。

「映画が終わって、何にもしていないんだったら、
僕一人だからさみしいから来て。」


8時過ぎ、ひろからメールが来た。
夕方、一人で映画を観に行こうかな、、、とひろに伝えていた。
けれど、気乗りがしなくて、結局、一人でお部屋に居た。
すぐに電話をすると「じゃあ、おいでよ。」と、ひろ。


ささっと着替えて、ひろのお店に行くと
カウンターに一組の男女が居る。
見たことがない顔だ。

男性はひろと同じくらいの年齢に思えた。
女性は姫より少し若いくらいか・・・。

二人とも酔っ払っており、熱いお茶をすする姫を珍しがった。

「オシャレですねーー」
女性が姫に話しかけてきた。
「いえ、いえ。全然、適当に着てきただけですから。暗いし。」

ひろのお店は暗く、姫は昨日化粧すらしていなかった。

男性はひろに話しかけていた。
昔懐かしのお店の話で盛り上がっている。
「懐かしいなぁ。マスター、僕と同じくらいの年代だと思うんだけど。」

「ははは・・・」ひろが笑ってかわした。

「僕は52なんだけど、同じくらいじゃない?」と、男性。

ひろは嬉しそうに「まぁ、そんなもんですよ。」と、答えた。



そうか、52か。
その男性は、もっと老けて見えた。
女性は39だと言う。

「私、この人のために離婚したの。」

唐突に女性が言った。


男性は「ほんとに?また、そんなこと言っちゃって。」と
はぐらかした。


男性がひろと話しているすきに、
女性は姫のほうに向き直って言った。
「私、この人のこと好きなんです。でも、この人は全然で・・・
でも、すごく好きなの。かっこいいし。おしゃれだし。
話も合うし、気も合うんですよね・・・」

女性はかなり酔っ払っている。


そうか、、、
姫はそういうところに鈍感なので、二人が愛し合っているのか、
男女の関係なのか、それともトモダチなのか、よく分からなかった。


けれど、その男性を姫は「かっこいい」とも
「おしゃれ」だとも思わなかった。


二人がお店を出てから、ひろが片付けをしている間、
姫は思った。

ひろと姫もそんなふうなのだろうか。
「変な二人」なのだろうか。
何度もここに書いているが、ひろは本当に複雑な人だ。
複雑なのに、単純に見せかけ、
単純なのに複雑に見せる。

見栄張りで、プライドが高く、
心を簡単には開かない。

インチキでペテン師で、嘘もいっぱいつく。


こんなふうに、ひろを表現すると
まるで人非人のようだ。

けれども、そうじゃない。
そう、思っている人はいるだろう。

けれども、姫はひろがそうじゃないことを知っている。

あばたもえくぼ、、、そういうものではない。
もっと本能的で、直感的な感覚だ。


それを長いこと言葉にすることが出来ずにいた。
表現することが出来ず、もどかしかった。

自分の直感を的確に言葉で表現するのは難しい。



しかし、昨日、姫はそれをふいに言葉にすることが出来た。
酔っ払って舌が滑らかだったのもあっただろう。
それに、ひろも上機嫌だった。
ひろと姫の間に『遠慮』という空気がなかった。


姫は子供の頃から、何故かエッシャーのだまし絵に魅かれた。
エッシャーを知ったのは、アートのブームのようなものだった思う。
それでも、衝撃的に、直感的にそこに魅かれた。


「ひろは姫にとって『エッシャーのだまし絵』みたいな人なんだよ。」

「エッシャー?」

「そう、ヨーロッパの人。どこか忘れたけど、無限を表現してる絵を描く人。
滝が落ちてるのか上ってるのか分かんない絵があるじゃん。」

「あぁ、分かるよ。」

「姫はね、昔からエッシャーのだまし絵にたまらなく魅かれるの。
ひろとエッシャーのだまし絵は共通してるの。」

「何が?」

「緻密で、精巧で、完璧に見えるのに、決定的に間違いがあるの。」

「なるほど。」

「ずっと、ひろのどこに魅かれているのか分からなかったけど、
今、すごく分かった気がする。エッシャーのだまし絵と同じだ。」

「決定的な間違いがあるの?」

「そう。一見、完璧なのに。よく見ると違うの。
どうしようもなく決定的に欠陥があるんだよ。どうすることもできない。」


酔っ払ったひろは、ただ微笑んで姫の言葉に耳を傾けた。



翌朝の二人の予定のせいで、一緒に眠ることは出来ず、
ひろとバイバイして一人、お部屋まで歩きながら反芻した。


そうか、エッシャーのだまし絵だ。



しらふのひろに、面と向かって同じことを言ったら、
逆切れするだろうな・・・
そんなことを考えながら、酔い覚ましに夜の街を歩いた。
前記事は身体的、精神的に堕ちるところまで、堕ちた状態で書いた。

苦しくて、誰かにぶつけたかったけれど、ぶつける相手がいない。
ぶつけるところは、この日記だけだった。

仕事用のバッグから、ノートを取り出して
思いつくままに書き殴った。

書き殴りながら、まるでこれは遺書だなとも思っていた。



それから数日、少しずつ平静を取り戻して今に至る。


ここ一か月ほどの間に身体に起こった変調は更年期障害だったのか、、、
医者は「そうかもしれないし、違うかもしれない。」と言った。
更年期障害だと断定することは何の意味もないと言われたのだ。

なるほど。


2週間ほど前は、仕事中に息苦しくなり、死ぬ思いで
車のハンドルを握りながら病院に駆け込むと、
指先にクリップのような器具を取り付けられて、酸素濃度が測られた。

「過換気症候群ですね。酸素濃度が99%になっいて、高すぎる。」

唇の痺れ、血圧の上昇と動悸の激しさに加えて、呂律も回らなかった。
「もう、死ぬのかな・・・」という不安がさらに、症状を悪化させたのだという。


その後・・・
血圧の薬、精神安定剤、睡眠導入剤を服用しているせいか、
徐々に体調は戻りつつある。


ここまでどうして堕ちたのか。
語れることだけ、綴っていこうと思う。