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姫日記

恋する気持ちを持ち続けていたい姫の日記です。

時系列的に「その1」とは逆転するが、
こんなことがあった。




とうもろこしの旬の走り、
少し郊外に並ばなくてもよい、
予約のできる直売所を見つけて、
Nちゃんに教えた。

「今度行ってみようね」
半ば社交辞令的に言ったのだが、

「うん!じゃあ予約してみるよ。週末行こう!」
ということになり、一緒に行った。

9時半までに引き取りに行かねばならず、
彼がお迎えに来たのは8時半。
休日にしてはかなり早い行動開始となった。


直売所に行き、彼は半分を私にくれた。
「このあとどうする?」

「どうするも何も…まだこんな時間だし。
お昼ご飯には早過ぎでしょ。
うちに戻って、一本食べようか」
と、私の自宅に戻った。まだ午前10時過ぎだ。

採れたてのとうもろこしを一本ずつ食べ、
何をするでもなくリビングでゴロゴロした。
で、何とはなしにスイッチが入り、
まだ朝なのに濃厚モードに移った。



ショーツをはぎ取り
私の脚の間に顔を埋める彼を制止して
「…ん…ねぇ…シャワー浴びよう」
と言った。

そのままで良かったのだが、
リビングは明る過ぎる。
その明るさが、余計に卑猥で。

シャワーを浴び、寝室に行きカーテンを引く。
薄暗くなった空間はさっきとはまた違う卑猥さだ。


お互いの脚の間に顔を埋め、さっきの続き。
まだ午前中だという時間のマジックか、
いつもよりお互いが興奮している。

そのマジックで濃厚さが加速した。

「姫ちゃんヤラしいね」

「Nちゃんがするからでしょ・・・」

「気持ちいい?」

「うん、気持ちいい」

「ヤラしいねぇ」


時間をかけているからか
彼の芯はいつの間にか柔らかくなる。
それでも気持ちのスイッチは切れなかった。
切れないから、またすぐに硬さを増す。

その瞬間に私は彼に跨り、
その硬さを確かめるように彼にしがみついた。
意識を一点に集中させ、
この幸せなひと時を十二分に楽しんだ。

私が跨ったまま彼は果てたので、
彼は彼で楽しんでくれただろう。

私が上だと「めちゃラク」らしいから。


そしてそのまま二人で深い眠りについた。
まだ午前中のはずなのに。


先に私が目覚めた。
お腹が空いた・・・


ハッと彼が目を覚まし
「今、何時?」

「13時過ぎ」

本当は13時半だった。
本当のことを言うと、
彼が慌てて起きるかと思ったから。
余韻にもっともっと浸っていたい。


しばらくして起き上がり、
シャワーを浴びて身支度を整え、

「お昼ご飯食べに行こう」
と家を出た。


「もうどこもランチやってないね…」



とうもろこしのせいで
思いがけず訪れた朝の交わり。
初めての朝の交わりだった。
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手術のあと、
Nちゃんにはお通夜の予定があった。

彼の部下が亡くなったのだ。
「突然死でさ…」


手術の前日にお通夜の日程が決まり、
彼から報告があった。
だから、てっきり病院から戻ると、
そのまま彼は私を置いて帰るのだと思った。

仕方ないとは思いながら、前日、
「7時にお通夜行くよ」のメールに

「また戻ってくる?」
と勢いで返信した。

「うん^_^」

そうか、そうか、
戻ってくるのか…



そして、当日、
病院から私の家に帰宅し、
簡単に夕食を作って二人で食べた。


Nちゃんは食器を洗い終えると、
服を脱ぎ、ワイシャツを着てネクタイをしめた。
靴下を履き、スラックスに脚を通し、
そしてジャケットを羽織った。

彼の制服姿を見るのはこれで二度目だ。

抱きつきたい気持ちを精一杯抑え、
「別人みたい…」
と、そっとハグした。


「いってらっしゃい、気をつけてね」

まるで一緒に暮らしてるみたいだな、
まるで毎日の出勤を見送るみたいだな、
そう思いながら、Nちゃんに小さく手を振った。



分かってる、
ほんの一瞬の「ごっこ」。
幻だって。


「今日、一緒にお風呂入ろう」

おはようのメールのあと、
Nちゃんにそう返信した。

したいときは、はっきりと意思表示することにした。

「Nちゃんとしたい!」と言うこともある。


彼は淡白で、私から求めることのほうが多いが、
私が求めて、さすがに拒否されることはない。
まぁ、たまにNちゃんから珍しく求めてくることもあるが。

私が前もって意思表示をしておくと、
それなりの流れが出来るので気が楽だ。

ランチをして戻ると、
いつものようにNちゃんはテーブルの上に
車のキーやら、腕時計やら、スマホやらを
ポケットから取り出して置いた。

リビングでテレビを観る彼の横に座ると、
Nちゃんは私の腰に手を回して抱き寄せた。

ワイドパンツの裾から差し入れた手は
太腿まで届く。

ショーツが無理やりずらされて、
Nちゃんの指がストッキング越しに中心に掛かる。

ストッキングに阻まれて指は入り口にしか届かない。

腰を少し浮かせると、ほんの少し指が沈んだ。


それがもどかしかったのか、
Nちゃんは私のパンツのボタンを不器用に外し、
ファスナーを下ろして、
今度はストッキングもショーツも超えて
指を差し込んだ。

たった一本の指が私を上気させる。

無理な姿勢ともどかしさで、
Nちゃんは指を抜き取り私に見せながら
ティッシュで拭った。

タイミングを逃すまいと、
私は立ち上がってバスルームに行き、
お湯を張った。

リビングに戻ると、そこには全裸のNちゃん。

「今、入れたばかりだよ」

「それは失礼」

服を着た私と全裸のNちゃん。
そのいやらしさと恥ずかしさを隠すために
私は彼の足元に跪き、彼を咥えた。
明るいリビングで。

Nちゃんは私を引っ張り上げて立たせると、
「後ろを向いて」と
くるりと背を向かせ、私のパンツとストッキングと
ショーツを一気に下ろした。

立ったまま後ろから貫かれ、
彼の腕を掴もうと触れると、何かが当たった。
腕時計は外しているはず…

そしてふとテーブルを見るとあるはずの
彼のスマホが見えない。

…ピコンと音がした。

そうか、スマホを手にしているのか。

「何してるの?」

「動画撮ってるの」

「ヤラシイね」

「姫ちゃん、そのまま前進、、、
前進、、、」


私とNちゃんは後ろ向きに繋がったまま、
バスルームに移動した。

なんと不格好な…

脱衣所に到達すると、鏡の前に私を立たせて、
彼はスマホを構えたまま私を突き上げた。

「姫ちゃん、顔上げて、鏡見て」

鏡には歪んだ顔の私がいる。

「Nちゃん、ヤラシイって」


だからか、
彼の芯は硬い。


…ピコン


再び音がした。

「終了」
そう言って、彼はスマホを洗面台に置き、
私から身体を離した。



まだまだこれから。
そして、一緒にお風呂に入った。



この動画をNちゃんは
あとで観るのだろうか。
観たらこの瞬間を思い出すのだろうか。



彼が動画を撮ったのは、これが2回目だ。
その時は写真も撮った。
写真の何枚かは私にも送られてきた。

私とNちゃんが繋がっている紛れもない証拠だ。



初めての旅行に行った。
穏やかな旅だった。

行き先は隣県の鄙びた温泉宿。
日程も、行き先も、宿も、
決めたのは全部Nちゃんだ。

まぁ、言いたいことは多々あるが、やめておこう。

雲ひとつない青空、
目的地まではそう遠くない。
途中、日本の滝百選の滝に寄り、
午後3時半には宿に着いた。

こぢんまりした、古い温泉宿だ。
古いが、嫌な感じはない。

フロントでチェックインする彼。
宿帳への記入を求められ、名前を書く。
「お連れ様のお名前も」

おぉ、、、来たか。
Nちゃんは何と書くのだろうか…
ソワソワしながら、彼の背後から横目で見ると、
彼の名字に改名された私の氏名が見えた。

そりゃそうだな。
敢えて、ここで私の氏名を書けば、
「ザ・不倫旅行」間違いなしだ。

普通に夫婦を装えば、誰も何も思わないだろう。
それが自然だ。
私が逆の立場でも、たぶん同じ事をする。

背徳感はあるが、
それでも、私は嬉しかった。
宿の人にとったら、私は彼の妻なのだ。

部屋は狭いが川に面しており、
川向こうには森が広がるだけで、開放的だ。

「50代限定プランでさ、食事が量より質なんだよ。
食事の口コミも良くて。でもさ、年齢確認されなかったよなぁ…」
彼が言う。

「アハハ…それは、ほら、見た目、、、」

「え?」

他愛ないいつもの会話だ。

夕食までの時間、まずはそれぞれ
温泉に浸かりに行った。
残念なことに、貸切風呂はない。 
せっかくの初めての旅行なのに、
お風呂は別々…

仕方ない、Nちゃんのチョイスだから。
そんな条件、夢にも考えなかったのだろう。

量より質の夕食は部屋食で、
誰に気兼ねもなく、向き合って食べた。
仲居さんがお運びしている時に、
ちょうどNちゃんが急須でお茶を入れていると、
仲居さんは慌てて、「私がしますよ!」と言った。

彼はいつでも、何でもやってくれる。
お茶も入れてくれるし、
おひつで運ばれたご飯をよそうのも彼だ。
付き合い始めの頃はそれが新鮮だったな…

食事が済むと布団が敷かれ、
何をする事なくテレビを観た。

午後9時に男女の風呂が入れ替わるということで、
私はもう一度、お風呂に入りに行った。 
Nちゃんは既に眠そうで、
まったりとテレビを観てる。 

9時を過ぎ、Nちゃんは動こうとしないので、
「お風呂入っておいでよ。男女入れ替わったよ」

女性の風呂にしか露天もついてなかったのだ。
9時を過ぎれば彼も露天を体験できる。

「めんどくさいなぁ…」

「入っておいでよ。せっかくだから」

しぶしぶ立ち上がって、彼は部屋を出た。
戻ったNちゃんに私は言った。
「露天は広かったでしょ。」

「うん。広かったし、温度も良かった。
星が綺麗だったよ」

「うん!そうそう、それ、言おうと思ってた。」

あぁ、貸切風呂がないことが恨めしい。

夜もだんだんと更けていく。
ようやくそんな気分になったのか、
Nちゃんは私の浴衣の襟元に手を差し込んだ。

「眩しい、、、」
そう言って彼は灯りを消すと、
いつものように私を抱いた。

途中、私が声を上げると、
「シーっ」と人差し指を口元に当てて、
私を制止する。何度も。
「そんなに声出してないよ」

Nちゃんが果て、コトが済むと、
彼はあっという間に眠りについた。
いつものことだけれど…

静かに寝息を立てる彼の横で、
私は全く眠れなかった。
慣れない環境になかなか馴染めない。
Nちゃんに密着しようとすれば、
無理な体勢で余計に眠れない。

それに、色々な感情が頭の中を駆け回った。

無理な体勢をやめて、離れても、
ふと横を見るとNちゃんがいる。
寝息を確認しては安心した。
寝息さえも愛おしかった。

離れた身体をまた密着させると、
意識してか、無意識か、
Nちゃんが私の身体をホールドする。

再び無理な体勢を諦めて、私が背を向けていると、
寝返りを打った彼が、私に手を伸ばした。

そんなことを繰り返し、
明け方、私はほんの少し眠りに落ちた。

遮光カーテンの隙間から光が漏れ、
階下で微かに足音が聞こえる。

「朝食は何時にしますか?8時か8時半です」

「何時がいい?」

「何時でも」

「じゃあ、8時半で」

Nちゃんは規則正しい生活をする人で、
早起きの人。
私はてっきり早朝に叩き起こされるとばかり
思っていた。

なのに、Nちゃんは静かに寝息を立てている。
私が彼の胸に頭を乗せ首元に腕を巻き付け、
脚を絡ませた。
彼は、私をしっかりと抱き寄せたが、
目は覚まさない。

しばらくすると、ハタと起き上がり、
時計を確かめた。

「姫ちゃん、朝ご飯だ!」

浴衣を整え、寝ぼけ眼のまま、
もちろんスッピンで、食堂に向かった。

「危ないとこだった。
朝ご飯逃すとこだったよ。」

「てっきり、Nちゃんアラームかけてるものと」

「オレ、アラーム必要ないんで」

いつもはアラームもなく、自力で目を覚ます彼。
8時半まで起きなかったのは、私と居たからか…


朝食後にもう一度温泉につかり、
身支度をして、帰路についた。



土日に何もしていなかったから、
早くバイバイなんだろうな、、と思っていたが
昼食をとり、買い物をして私の家に一緒に帰り、
お昼寝をした。

そして、5時を過ぎ、
「明日の支度何にもしてないから…」と
申し訳なさそうに、彼は帰り支度をした。



付き合って5年半、初めて旅行。

「すっごく嬉しかった」とか、
「また行こうね」とか、
そういうものは、一切なく、

始まりから終わりまで、
淡々と穏やかに時間が過ぎた。


ドラマチックな展開も、
感動するような瞬間もなにもなかったが、
いつもの延長線のような時間が、
幸せなのかもしれない、と思った。

夜遅く、
「昨日も今日もNちゃんと一緒にいられて、
嬉しかった」とメールすると、

「楽しかったね」と、
ハートマーク付きで返信があった。

そうか、楽しかったのか。
特別楽しいことをしたわけじゃないけれど、 
Nちゃんも、私と一緒に過ごせたことを
楽しいと感じてくれたのか。


「また行こうね」と、
言いたい気持ちを飲み込んだ。
無理に追い詰めるのも、突き詰めるのもやめよう。

いつか、自然に行ける日が来る。
そうなるように気持ちを持っていこう。









台風の直前で雨もひどい。
Nちゃんは「どこに行く?」と言いながら、
車を走らせた。

(どこに向かっているんだろう)

ホテルのあるエリアはいくつかある。
そのエリアを一つ過ぎ、また一つ過ぎた。

(もう!私、期待し過ぎ…
一緒に居られればいいじゃん!)

そう思って、しばらくしたころ、
車は見覚えのある道を走っていた。

(あ、そのつもりがあったのか…)

時刻は午後3時を回ろうとしている。
到着したのは何度か行ったことのある
古いホテルだ。

古いからか、この時間でも空室がある。
それを見越して、Nちゃんはここに来たのだろう。
雨の休日は大抵どこも満室だから。


(でも…もう3時だよ…)

私はこの日、夜に予定があった。
だから全然帰りの時間は構わないのだが、
Nちゃんは違う。
いつもは6時前、早ければ5時半にはバイバイする。

Nちゃんは何も言わない。
だから、始まりの時間は遅かったけれど、
いつものようにゆっくりと過ごした。

この日は、”終わりかけ”の私に気遣って
Nちゃんはずっと私の上だった。
私の腰の下にはバスタオルを敷いて。

ずっと上のまま、時間をかけて
交わりを続け、そして果てた。

(もう随分時間が経っているはず…)

Nちゃんの次の言葉がどう来るのか、
構えてみたが、何もなく、
シャワーを浴びると、ベッドに戻り
Nちゃんは腕を広げて私を抱き寄せた。

ほどなく寝息を立てるNちゃん。
静かに、気持ちよさそうに眠っている。

(時間は大丈夫なのだろうか)

ようやく目を覚まし、
Nちゃんは枕元の時計を確認した。
ちらりと見えた時刻は午後5時を回っている。

テレビでは報道番組が始まった。

(やばいじゃん、こんな時間じゃん!)

それでも、Nちゃんは動かなかった。
体を合わせ、他愛ない話をした。

そのなんと気持ちのいいことか…
穏やかで幸せな時間。

しばらくして、ようやく起き上がり、
身支度をした。
私は、夜の予定に合わせて、
いつも以上にきちんと化粧を直す。

「姫ちゃん、顔見せて!よし、 大丈夫。」

「大丈夫って、どういうこと?」

「チェックしておかなきゃね。」

「そうなんだ…ありがとう」

ホテルを出たのは6時前。
Nちゃんはちっとも急いでいない。
むしろゆったりとしていた。

(急がなくてもいい理由があるのかな)

「姫ちゃん、何時に約束?」

「7時」

「そっか。気を付けてね。」

そして車の中で話をした。
帰ろうという素振りは見えない。
「オレはこのあと選挙でも行ってくるかな。
8時までらしいから。」

翌日の台風に備えて期日前投票に行くという 。
急いで帰宅しなくていいのだろう…

私の約束のギリギリまで
いてくれそうな気配だったが、

「私、もう少しお化粧直してから行くね。
今日はありがとう。雨、気を付けてね。」
と、バイバイした。

時刻は6時半。
初めてのパターンのデートだった。